実際の動作を確認したい人は、記事末尾の動画を見てほしい。オクルージョンは完璧ではなく、物体がわれわれの前後でちらついて表示されることもあった。ゲームの仕様か、ほかの原因によってかもしれないが、物体が半透明になることもあった。だが、オクルージョンによって加わったリアルさは、重要なものだった。ボールを投げるたびに作動するiPadの触覚振動と相まって、われわれは突如ゲームの中に足を踏み入れたような感覚に襲われた。
とはいえ、何もないコートに立って、iPadの画面上でいろいろな物体を見回しているということに変わりはない。ボールが目の前にあるときは大丈夫だが、通り過ぎたボールをまた見つけるのは本当に難しかった。後ろに下がったときに、自分の後ろにあったボールを押してしまい、オウンゴールを決めてしまったような気がする。言うまでもなく、3D ARヘッドセットがあれば防げただろう。Appleはまだそこに到達していないし、計画も一切発表されていないが、報道によると、早ければ2020年にも3D ARヘッドセットが登場する可能性があるという。
筆者と一緒にプレイしたBlumenthal記者も、Swift Strikeを没入型アーケードゲームアトラクションへの足がかりとみなしている。「AppleのARKit 3ソフトウェアを使って作られたボウリング風アプリのデモ、Swift Strikeをプレイするために木の床の上に足を踏み入れたとき、その体験はほかとは違うように感じられた。インタラクティブであり、魅力的だった。私とScott(筆者)の持っていたiPad Proが、立ち並ぶ仮想のボウリングピンを仮想のボールを押して倒そうと走り回るわれわれの動きを追跡した。このゲームは、われわれがどれだけの力を込めてボールを動かしたのかを認識し、コートを走り回っている最中でもわれわれを追跡した」(Blumenthal記者)
「Sandbox VRやVR World NYCなどの企業が世界中でバーチャルリアリティのアトラクションセンターを開設する中で、このテクノロジーがショッピングモールや公園、さまざまなイベントにも普及し、人々が集まって交流する新たな手段を提供するであろうことは想像に難くない」(同記者)
マルチプレーヤー対応のARは2018年の「iOS 12」で利用可能になったが、2019年の大きな進歩によって、こうしたゲームが実現する可能性ははるかに高まるはずだ。プレーヤーが現実の空間をスキャンして共同でマップを作成し、デバイス間で共有するという共有マップも実現できるだろう。同じ空間内に留めておき、複数の人に見てもらうことを意図したアンカー的な物体は、永続的に表示させることができる。筆者の頭に浮かぶのはMinecraft Earthだ(まだプレイしたことはない)。Minecraft Earthはこうしたアイデアの多くを一度に実現することを目指している。マルチプレーヤー対応のARゲームが特別なものではなく、当たり前のものになる日がついに訪れるかもしれない。
Blumenthal記者も筆者も、このゲームは完璧なARではないと考えている。これはデモにすぎない。今秋、「iOS 13」と「iPadOS」の一部としてARKit 3がリリースされるまでには、まだまだ時間がある。だが、より高速で滑らかなARの世界が到来することを予兆している。
もっと動きやすい靴を手に入れておいた方がよさそうだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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