2018年の今頃、「iPad」(とタブレット全般)は不確実な未来に直面していた。何年にもわたって、消費者の関心が低下し続けていたからだ。
しかし、この18カ月の間に、AppleはローエンドのiPadを刷新し、ハイエンドの「iPad Pro」を再設計した。これが起爆剤となって、消費者のタブレット購入が大幅に増加したため、2019年の最初の3カ月間におけるiPadの成長率はこの6年間で最高を記録した。
そして、「iPadOS」の発表によって、AppleはiPadが同社の製品ラインアップでますます重要な位置を占めていることを明確に示した。iPadOSはiPad向けに特別に設計された新しいソフトウェアだ。2010年に発表されたiPadについて、当時の最高経営責任者(CEO)のSteve Jobs氏が「魔法のような」デバイスと呼んだことはよく知られている。
Appleのソフトウェアエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントのCraig Federighi氏は米国時間6月3日、同社の「Worldwide Developers Conference」(WWDC)でiPadOSを発表した後、インタビューで「iPadは本当に独特の個性を持つ体験になった」と語った。
「『iPhone』の体験とも、『Mac』の体験とも違う。そのことが、iPadOSという名称に反映されている」(同氏)
秋にリリース予定のiPadOSで、AppleはiPadの大きな欠点のいくつかを解消する機能群を提供する。これにより、多くのiPadユーザーに対して、同タブレットを使ってより多くのことをこなせると訴求できる可能性が高い。Federighi氏は、新OSを搭載するiPadについて、ノートブックの代替品と評することは控えたものの、「われわれは、iPadが最善の解決策だと言ってもらえる領域を広げた」と述べている。
最も有用そうなiPadOSの新機能10個は以下のとおりだ。
1. 新しいホーム画面:ウィジェットをピン留めすることが可能になり、アイコンを追加するスペースも増えた。
2. マルチタスクの強化:複数のアプリを「Slide Over」モードに追加して、すばやくアプリ間を切り替えることができる。また、「Split View」を使って、同じアプリ(あるいは、別々のアプリ)を2つのウィンドウに分けて開くことができる。
3. デスクトップ版と同等の「Safari」:新しいiPadOSのSafariでは、デスクトップ版のウェブサイトを自動的に表示して、タッチスクリーン用に最適化する。「Googleドキュメント」や「WordPress」などのウェブアプリともよりうまく連携する。
4. ファイル管理の向上:カラム表示やファイルプレビュー、クイックアクション、メタデータの表示、zipファイルの圧縮および解凍、キーボードショートカットが追加されたことにより、「ファイル」アプリの機能がMacの「Finder」に近づいた。さらに、「iCloud Drive」でのフォルダ共有にも対応したことで、Dropboxや「Googleドライブ」と競合するようになる。
5. ドライブの接続が可能に:サムドライブやSDカード、外付けドライブを接続すると、自動的にファイルアプリに表示されるようになった。
6. カメラのサポート:カメラをiPadに直接接続して、写真をインポートし、「Adobe Lightroom」などのアプリで編集できるようになった。
7. フォントのサポート:フォントをダウンロードしてさまざまなアプリで使用できるようになった。
8. テキスト編集の高速化:より高速なスクロール、より簡単なテキスト選択とカーソル移動を可能にする新しいジェスチャーとタッチコントロール、コピー&ペーストを実行する新しいジェスチャー、「取り消し」を実行する3本指スワイプ。
9. 「Apple Pencil」のマークアップ:Apple Pencilで画面の隅から上にスワイプするだけで、マークアップを利用して画面上の任意の場所に注釈を加えられるようになる。注釈はエクスポートすることが可能だ。
10. 「Sidecar」:この機能を利用すれば、iPadをMacのセカンドモニターや描画用タブレット(Apple Pencilとペアリングした場合)として使うことができる。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」