これまで言及していなかったが、確実にこの問題に強い関心を持っており、現状を見て笑っているのがサムスンだろう。ソウルで蜜の味を感じているに違いない。
サムスンはGoogleのモバイルOSを利用してスマートフォン分野で優位に立ったにもかかわらず、サムスンとGoogleは、よく言っても崩壊した結婚生活を続けているような、友人を装った敵対者同士だ。
世界第2位のAndroidスマートフォンメーカーであるファーウェイが一定期間無力化された場合、それがサムスンの利益になることは間違いない。
だが、サムスンが得られるかもしれないものは、スマートフォン分野での優位だけではない。同社は世界の主要5Gネットワーク機器メーカーの一角としての地位を確立したいと考えている。
サムスンは白物家電や造船、半導体など、多くの事業分野を支配できるかもしれないが、同社のネットワーク事業は幾度となく成功をつかみ損ねている。
ファーウェイ製5G機器の禁止措置によって空いた隙間に、サムスンが素早く滑り込むチャンスがあることについて、オーストラリアの第29代首相で2018年に失脚したMalcolm Turnbull氏がうまく要約している。
Turnbull氏は2019年3月、次のように述べていた。「西側の首脳陣と議論を重ねる中で、私は、われわれ、特にUKUSA協定締結国の間で、5Gシステムの主要なベンダーが事実上4社に絞られる段階まで達してしまったことへの懸念を提起してきた。2社は中国のファーウェイとZTEで、残りの2社は欧州のEricssonとNokiaだ」
「今思い返してみると、無線技術を先導した米国と英国、ドイツ、日本、そして、Wi-Fiを先導したオーストラリアの中で、自国の電気通信会社を、国家、またはUKUSA協定締結国を代表する主要5G企業として提示できる国が1つもないのは、信じられないことだ」(Turnbull氏)
サムスンは2020年までに少なくとも20%の市場シェア獲得を目指して、220億ドルを5Gネットワーク事業に投資している。
これまでのところ、サムスンは自国では成果を上げている。ファーウェイに暗雲が立ち込めているおかげで、サムスンは切望してきた機器販売台数の増加を今後も達成できるはずだ。
それと同時に、ファーウェイのスマートフォン事業へのいかなる打撃も、サムスンのモバイル事業にとってプラスの要素でしかない。サムスンはこのところ、5年前のような巨額の利益を上げるのに苦労している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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