パワードスーツなどの開発を手がけるATOUN(アトウン)は5月17日、「腕の補助機能」を搭載したパワードウェアを公開した。作業効果が最大で37.7%アップするという。
ATOUNは、奈良県奈良市に本社を構える電気機器メーカー。ロボット技術をいかし、パワーアシストスーツなどの開発を手がけている。パナソニックの社内ベンチャー制度「パナソニック・スピンアップ・ファンド」により、2003年に設立。現在パナソニック、三井物産と資本、業務提携を結んでいる。
すでに、腰用パワーアシストスーツ「ATOUN MODEL Y」などを発売しており、物流や製造、農業の現場で、荷物を運び出しや積み替え作業などに活用されている。腰をサポートすることで腰にかかる負担を減らし、より効率よく作業ができるとしている。
腕の補助機能は、ATOUN MODEL Yにユニットを取り付けて使用するもの。腰の補助に腕の補助機能が加わることで、作業効果がパワードウェア非着用時に比べて、最大で37.7%向上するという。
ATOUN 代表取締役社長の藤本弘道氏は「物流、製造、農業などの分野を中心に販売を進めているが、すでに使っていただいているお客様から言われるのは『腕も楽にしてほしい』ということ。今回は、1つの例として、両腕で10kgを補助できるユニットを紹介する」として、腕の補助機能を披露した。
荷物持ち上げたり、持ち下げたりするサポートを目的に開発。床から0〜90cm程度を対象とし、片腕で5kgf弱を想定しているという。棚など、遠いところから荷物を引っ張り出す「引き寄せの補助」に対応し、人間の腕の動きを阻害せず、幅広い荷物を持てることが特徴だ。
背中側にある巻き上げ機構と腕の補助機能により、荷物の上げ下ろしをサポートできる仕組み。ATOUN MODEL Yとは別々に制御するため、人間が補助のタイミングを任意に決められる。
開発当初は、パワードスーツのようなフレーム式を想定していたが、システム全体が重くなってしまうため、ワイヤ式に切り替えたとのこと。小型、軽量化を実現することで、深くしゃがんだり、腰をひねったりといった動きができるようになった。また8つ必要だったモーターも4つへと半減。大幅な軽量化に結びついたという。
協業している、JALグランドサービスでは、腰用パワードウェアを羽田と成田にて実用導入しており、腕の補助機能を追加しての協業も開始するという。
実用化は「早くて2020年」(藤本氏)としており、価格も現在のところ未定。藤本氏は「作業が楽になり、作業効率を挙げることを重視しているので、導入いただきやすい価格帯を目指したい。実証実験の協力、パートナーも今後募集したい」としており、実用化に向けて意欲を見せた。
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