Joshua君はコーディングに関して生まれながらの才能を持っており、このテクノロジに特に興味を持っているようだ。Lefanさんによると、Joshua君は2018年夏、Code Jumperのことを知る何カ月も前から、コーディングを学びたいと思っていたという。Joshua君が気に入っているのは、ハブの再生ボタンを押せば、自分で作り出したばかりの音をすべて聞けることだ。
Code Jumperアプリも必要になる。現在のところ、同アプリは「Microsoft Store」経由でしか入手できないため、Lefanさんは教室に2台のMicrosoft製タブレット(1つのCode Jumperキットにつき1台のタブレット)を用意している。タブレットのアプリにはコードの行が表示され、生徒はそれを音声として再生し、それぞれの行の音を続けて聞くことができる。
生徒たちはまず、「Row Row Row your Boat」(こげこげボート)という童謡を再生するコードを作成した。素晴らしいチームワークで、交代しながら新しいポッドをつなげていく。
メインのポッドには、2つの鮮やかな青色のダイヤルがあり、それぞれの物理的特徴が異なる。ユーザーマニュアルには、高さが低く、丸みを帯びたダイヤルが「ドーナツ」型(Joshua君が話していたのはこちらだ)、もう1つのダイヤルが「高さがありギザギザがついたダイヤル」と書かれている。鮮やかな青は白とは対照的な色であるため、視覚障害のある生徒はダイヤルを識別しやすい。「ドーナツ」型のダイヤルと高さのあるギザギザのダイヤルがあることで、目が見えない生徒も触って違いを区別できるようになっている。
ドーナツ型のつまみが音の種類を変化させるのに対し、高さのあるつまみの方は音の長さと高さを制御する。どちらのグループの生徒も、Row Row Row your Boatのコードを無事に完成させたが、できあがった曲は異なっていた。一方のグループは、より原曲に近い形で表現したのに対し、もう一方のグループは音の高さや再生速度に手を加えて、独自の曲調に仕上げた。
先生も生徒たちと一緒にコーディングを学んでいる。Lefanさんが筆者に話してくれたところによると、生徒たちはLefanさんほど気後れしていなかったという。「生徒たちにとっては、それが自分たちの世界の一部なので、私たちよりも断然、自然なことに感じられるのだと思う」(Lefanさん)
Lefanさんは、自身の生徒たちと目の見える子供たちに開かれたコーディングクラブを立ち上げたいと考えている。
APHのMeador氏はCode Jumperを「インクルージョン(多様性を受け入れる)製品」と表現している。誰でも試せる製品という意味だ。同氏によると、7歳から11歳までの子供をターゲットに設計された製品だが、5歳の子供やさらに年少の子供もCode Jumperの使い方を覚えたという。
基本的な使い方を学んだ後、子供たちはループポッドと一時停止ポッドを使ったさらに高度なコーディングへと進んだ。ループポッドは、それぞれ1つの「row」を再生する通常のポッドを3つ使用する代わりに、1つで「row, row, row」を一度に再生できる。一時停止ポッドは音声を一時的に止めるので、生徒たちは自分が作る音楽や物語で、さまざまな効果を作り出すことができる。
音楽を再生するコーディングから、いななきながら走る馬の音を作るコーディング、さらにはバッグス・バニーが「ここで何が起こっているの?」としゃべるコーディング作業に移った生徒もいた。
Meador氏は、Code Jumperを学習した生徒は、もっと簡単にPythonなどの高度なプログラミング言語に移行できると考えている。
「私たちはこれ(Code Jumper)をキャリアの一要素と捉えている」。そう語るMeador氏は、Microsoft、Apple、Googleのアクセシビリティチームと、目の見えないまたは視覚障害のあるプログラマーが不足していることについて話したという。そうしたプログラマーの需要は大きい。
「目が見えなくてもプログラマーになることができる。目の見えないプログラマーは大勢いる」(Meador氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手