「今年は、文字どおり導入の第1段階だ。欧州西部や米国など、当社が狙っている主要市場で一般向けに5Gを展開するのは、2020年の前半が妥当だと考えている」。HMD Globalの最高経営責任者(CEO)のFlorian Seiche氏は、米CNETのインタビューでこう答えている。
「5Gスマートフォンが大々的に普及するのは、2019年末から2020年だろう」と語るのは、Honorのプレジデント、George Zhao氏だ。同ブランドは、最初の5Gモデルのリリースを2019年後半に予定している。
モバイル企業各社にとって、MWCで5Gスマートフォンを盛り上げようというのは難題でもあった。次世代ネットワークがもたらす違いを実際に見せたり、まして存分に味わってもらったりするのは難しいからだ。
その代わりに、スポットライトをすっかり奪う形になったのが、画面を折り曲げられる、視覚的に印象的な折りたたみスマートフォンだった。5Gと折りたたみ式の両方を兼ね備えるモデルもあり、Mate Xもその一例だが、MWCで参加者の目を引いたのは、やはり折りたたみのメカニズムだ。
「折りたたみのデザインが人々の心を捉えているが、これは私たちが何年も前から追いかけてきた技術だ。たまたま、5Gが登場する時期と重なったにすぎない」。IHS MarkitのアナリストであるWayne Lam氏はそう述べている。同氏によれば、折りたたみスマートフォンは、モバイルの設計におけるひとつの進化に当たり、スマートフォンとタブレットというデバイスカテゴリの未来を変える可能性すらあるという。
もう何年も、見た目に目立った変化がなかったスマートフォンの世界で、ユーザーが新しいものに熱くなるのは当然だろう。
「折りたたみデバイスは、スマートフォン業界にとって重要な時期に登場した。スマートフォンメーカーが製品の差別化に腐心する一方、消費者は均質な『似たり寄ったりの大量のスマートフォン』に無関心になってきている、そんな時期だ」と、CCS InsightのアナリストのBen Wood氏はブログ記事で書いている。この10年間に登場したスマートフォンは、基本的に「タッチスクリーンの付いた黒いかたまり」のまま、何ら変わっていないのだと同氏は指摘する。
5Gは、多くの可能性を秘めているものの、スマートフォンを使うという日常的な体験に対して、折りたたみデザインほど大きい影響を及ぼすとは考えにくい。確かに、オンラインのアプリやサービスは高速になり安定するだろうが、業界の専門家によれば、5Gの重要な用途として特に期待されているのは、ビジネス、モノのインターネット(IoT)、スマートシティ、自動車なのだという。
5Gが実現に向かう前段階から、通信事業者の多くは、他社に先駆けようと競ってきた。韓国の通信事業者KTは2018年12月、モバイル5Gネットワークと5Gで動くロボットを消費者に初めて提供したとして、一番手を名乗っている。
競争が特に激しいのが、米国だ。Verizonは2018年10月、「Verizon 5G Home」という5Gサービスを開始したが、業界標準に依拠していないと指摘されていることから、厳密に言えば、これは除外される。続く12月には、AT&Tが米国内の12の都市でモバイルサービスを開始したが、その展開は限定的だ。
「まだポケットのように範囲が狭い」と、AT&Tの最高技術責任者(CTO)を務めるAndre Fuetsch氏は、現地時間2月26日のMWCでのインタビューで答えている。AT&Tは、どの地域の5Gネットワークか公表していないが、一部の中小企業が利用するにとどまっているという。
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