生産者が食品を直接販売--チーム「京都は日本のトーキョー」
生鮮EC市場が伸びない理由を、「どんなものが配達されるのかわからない」「性質上輸送コストが高額」の2点とした「京都は日本のトーキョー」。ECサービスでは小売店での購入と異なり、配達されるまでどのような状態の商品が届くかがわからない。特に食品の場合は、自分の口に入れるため、信頼できるものを購入したいという心理があるとした。また、サービス提供側の観点では、生産者から卸売、小売を経由する上、冷蔵も必要となるために配送コストがかさんでしまう。彼らは、これらの顧客、事業者双方の課題があるためサービスが浸透しないのではと分析した。
そこで彼らが提案したのが、ECプラットフォーム「FOODELY」だ。農家などの生産者をブランド化して食材に信頼性を与えるほか、生産者自身が商品を売ることで、卸売りや小売りに掛かるコストを削減するという。SNSとFOODELYを組み合わせることで、SNSで人気のある生産者の食品を買えるといった、SNS時代に適した生鮮ECを目指すとしている。
プレゼンテーション後に審査員により議論が進められ、1位から3位までの結果が発表された。
3位となったのは、生鮮食品の買い物コンシェルジュを提案したマーライオン。顧客目線で課題と解決方法を検討したことの立ち位置、そして実用性が評価された。一方で、審査員は新しさとユニークさの不足を改善点として挙げた。
2位に選ばれたのは、証券取引を応用した食品取引を発表したneko-house('ω')。社会課題の解決手法やアプローチがユニークかつシンプルであることが、小さなアイデアから大きなマーケットに対し影響を及ぼすサービスになり得るとして高く評価された。また、サービスのプロトタイプを用いてプレゼンテーションした点も技術的に評価された。審査員からは、「実際に会場全員で触れるプログラムで熱量を上げたり、将来性についての内容があれば広がりがある強いアイデアになる」と講評された。
そして1位の栄冠に輝いたのは、うまいと出会えるAIを提言したUMAIだ。コンセプトの作り込みやプレゼンテーションの説得力といった点で高得点を得たほか、プロトタイプを用いて観客がサービスを体感できた点が技術的に評価された。
今回のハッカソンで審査員を務めたのは、クックパッドの買物事業部本部長 JapanVPである福崎康平氏のほか、「食べチョク」や「オイシックス」など、同社の競合ともいえるサービスの関係者ばかりだ。ライバル関係といえる彼らだが、このハッカソン開催を機に業界を盛り上げるため、今回はサービスの垣根を越えて有識者が集まったという。
参加者についても分野はさまざまだ。比率としてはエンジニアが多かったというが、食品業界ばかりではなく、自動車業界や大手通信関連企業の社員、さらにはN高校の生徒などが名を連ねていた。さまざまなサービス・業界から参加者が集まった今回のハッカソン。これを機に、さらなる食品EC業界の発展に期待したい。
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