Microsoft Graphとデジタルアシスタント「Cortana」のおかげで、開発者はユーザーに関する膨大なデータを利用できるようになり、ユーザーに直接マーケティングできる可能性が前例にないほど広がっている。例えば、ノートPCで何かを読み始めて中断すると、スマートフォン(「iPhone」でも「Android」でも)が口を挟んで、続きを読むかどうか聞いてくるようになるだろう。Cortanaはプラットフォームを問わず、今まで気付かなかったような点で世話を焼いてくれる存在になった(Cortanaにスマートフォン情報を指定するには「Windows 10」の「設定」画面から行う)。
ただ、そうなると、「より良い読書体験のために当社のアプリをダウンロードしてください」という例の煩わしいメッセージを、サイト側や開発者がポップアップ表示できるということにもなる。もちろん、そのアプリがWindowsアプリストアにあればの話だが。つまり、Windowsに限らずどんなプラットフォームでも、ユーザーを追跡するのが簡単になったということだ。いや、正しくは「ユーザーにより良い体験を提供しやすくなった」と言うべきか。これがソフトウェア企業にとっての魅力だ。
Adobeの現在のアプリケーションは、複合現実に関して大きく後れをとっている。360度動画の編集は、幾分つまらないし、「Project Felix」の3Dモデルは操作インターフェースが時代後れで、少々使いにくい上に静止画しか扱えない。まあ、一般ユーザー向けではないのだが。Microsoftの拡張APIなら、斬新なアプリケーションをもっと簡単に開発でき、ユーザーの負担もずっと少なくて済む。Adobeは今でこそプロフェッショナルに支持されているが、将来のプロフェッショナルに見放されるおそれがある。
Adobe Creative Cloudの大きなセールスポイントの1つが、実際のクラウド機能だ。しかし、AdobeがCreative Cloudに実装しているファイル同期機能は、お粗末すぎる。すべてを同期するか何も同期しないかの二択で、ローカルドライブの容量を圧迫してしまうのだ。その上、オンラインでファイルを閲覧するときに意味のある形で整理する方法がなく、ログインしているアカウントに関連するファイルしか見られない(試してみたところ「Googleドライブ」の実装も期待外れだった。複数のアカウントを切り替えるのも、選択的に同期するのも、あまりに難しい)。
Microsoftの「OneDrive」の更新で、こうした同期の問題が解消される。選択的な同期が可能で、ファイルは最初のアクセス時にだけダウンロードされる。また、ファイルを共有する相手も同じOSを使っている可能性が高く、Adobeの高額なクラウドサブスクリプションにアクセスしていたり、「Box」や「Dropbox」など同様のストレージサービスを使用していたりする可能性はそれに比べて低い。Appleの「iCloud」に関しては、プラットフォームをまたいでファイルを同期したければ、Windowsでも多少は使えるという程度で、基本的にはApple大好きユーザーやファミリー向けか、あるいは大企業向けであって、その中間はほとんど考慮されていない。
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