Appleは、最新のスマートフォンからヘッドホン端子を取り去った。これが、そもそもの議論の始まりだ。
iPhone 7をプレゼンテーションしたフィル・シラー上級副社長は、「ワイヤレスが未来」という考えを強調した。その答えとしてAppleが用意していたのは、AirPodsと、Beatsのワイヤレスヘッドホン3種だった。
噂にはあがっていたが、iPhone 9年目、iPodから数えれば15年目の決断に対する消費者の反応は、想像通りのものだった。例えば、以下のようなものだ。
裏を返せば、この程度の反応であれば「いける」とAppleは考えていたのかもしれない。
振り返れば、Appleは、古いコネクタを廃止する歴史を辿ってきた。USBを採用したiMac、iPod以来のDockコネクタをLightningへ置き換えたiPhone 5や、USBThunderbolt、MagSafe 2を廃止してUSB type-Cポートに集約したMacBookなど。
前述のような批判は、その都度繰り返されてきたし、新しいデバイスを買うごとに変換アダプタも購入しなければならなくなった。その点で、ヘッドホンアダプタとLightningコネクタに変更された標準ヘッドホンEarPodsの同梱は、むしろAppleからの歩み寄りすら感じるほどだ。
AppleはiPhoneのオーディオ端子に関する進化を、リモコンマイクとのコンビネーションに変えて以来、何もしなかった。ハイレゾ音源のサポートもなく、iPhoneでの役割を終えた。
そして、「未来はワイヤレス」という。
Appleがハイレゾに踏み込まずにいた理由は、必ずしもヘッドホン端子が原因ではなく、買い切り制のiTunes StoreからApple Musicへの音楽のビジネスモデルを変更なども関係しているだろう。
ただ、アナログでハイレゾを実現するよりは、デジタル、しかもワイヤレスでのハイレゾへとジャンプした方が、テクノロジ面での進化を大きく感じられるはずだ。
BeatsはBluetoothで、AACに加えて、より低い圧縮率で転送できるApt-Xをサポートしているが、iPhoneはApt-Xに対応しないままだ。Appleが今後、Apt-X以上の音質を実現するワイヤレスオーディオ環境を整えることはあり得るだろう。
Appleは2015年6月から、Bluetoothの規格策定を行うBluetooth SIGでPromoter Mem-berとなったことも、そうした予想をする理由だ。そうでなければ、「未来はワイヤレス」とは言わないだろう。
AirPodsとBeatsの新しいワイヤレスヘッドホンには、ワイヤレスオーディオ向けの専用プロセッサW1が内蔵されている。
このW1が、W2、W3へ進歩していくことで、ワイヤレスオーディオを進化できる「枠組み」を作ったようなものだ。そのペースが毎年なのか、2年に1度なのかは今後の楽しみになるだろう。
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