AppleがなかなかMacをアップデートしない唯一の理由は、同社があえて頻繁にアップデートしない方針を採ったことにある。
それでは、Appleはなぜそのような方針を採るのだろうか。
まず、好調時と不調時を平均すると、Macの売れ行きはそこまでひどくない。PC市場が底を突いていることを考えれば、なおさらだ。Macの販売台数はここ12四半期、400万台~600万台の間で推移している。Appleはこの販売台数の水準に明らかに満足している。そして、Macラインアップを頻繁にアップデートしても、販売台数が急激に変わることはないと考えていることも明白だ。
留意しておくべき要素はほかにもある。Appleがアップグレードの間隔を長くすればするほど、低下し続ける部品価格のおかげで、Macから得られる利益は大きくなる。1年前に発売されたプロセッサの価格は、今では大幅に下がっている。それは、同社が販売するMacの1台あたりの利益が拡大することを意味する。
そして、それはほとんどの部品に当てはまる。1つ1つの部品で増える利益は数セント程度かもしれないが、1四半期に何百万台ものMacが売れることを考えると、かなりの金額になる。
「新学期」と「ホリデーシーズン」を含む次の2四半期は売り上げを伸ばす好機であるのに、Appleはその前になぜMacラインアップをアップデートしなかったのか、と不思議がる者もいる。そうした意見に対して、筆者は「なぜわざわざそんなことをする必要があるのか」と言いたい。従来この2四半期はMacの売れ行きが最も好調な時期であることを考えれば、なおさらだ。
この2四半期こそ、放っておいてもMacが売れる時期だ。Macを購入する人の多くは、GHz、Gバイト、RAM、CPUといったことにあまり興味がないため、ハードウェアが数年前のものでも問題ない。
さらに付け加えるなら、古いMacの価値は驚くほど長く持続する。
毎年のように新しいハードウェアを購入するのが好きな人にとって、新型Macが発表されない今の状況がもどかしいことは筆者も理解できる。しかし、毎年のように新型ハードウェアを発表するのは、もはやAppleの流儀ではないようだ。それが気に入らない人は、「Windows」エコシステムに乗り換えた方がいいかもしれない。Windowsであれば、OEMが定期的に新しいハードウェアを発売してくれるからだ。
もう一度言うが、Appleはあなたのために働いているのではない。AppleはAppleのために働いているのである。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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