HTC Viveには既に100以上の体験とゲームが用意されている。筆者はこの1週間で、できるだけ多くのタイトルをプレイしてみた。超現実的な「Cloudlands: VR Minigolf」のように見事な作品もあれば、クールなグラフィックスの海中体験「TheBlu」など、拡張版デモのように感じられるものもある。また、少々ぎこちないものもある。SteamVRの一部のゲームは、HTC Viveに付属のコントローラで操作することさえできない。こうしたゲームには、ゲームコントローラ(筆者は「Xbox One」のものを接続した)か、マウスとキーボードが必要だ。Viveと「Oculus Rift」の両方で動作するゲームもある。
それこそが、VRとアプリストアに対するValveのアプローチの魅力的な点だ。オープンなアプローチであり、必ずしもHTC Viveハードウェアに限定されていない。自前の専用アプリストアを持つOculusと違って、SteamVRはHTC ViveのVR体験のためだけにあるものとは感じられない。実際にそうではないからだ。その点を気に入る人も、嫌う人もいるだろう。
HTC Viveの用途の大半はゲームだが、既に実物大のペイントアプリ(「Tilt Brush」)や彫刻アプリ(「SculptrVR」)も登場している。「Apollo 11号」に関するインタラクティブなドキュメンタリーもある。これらのアプリを体験すれば、誰もが驚愕するはずだ。
筆者の監督下で、7歳半の息子にHTC Viveを試させてみた。息子に与えたのはSculptVRだ。息子は突然、自分で芸術作品を作る作業に没頭しだした。操作方法と仮想スペースを理解し、前屈みになって、細部を仕上げていった。ちゃんと動くようにできている。
これがVRの素晴らしいところだ。
VRのセットアップと機器の扱いに慣れると、すべてが円滑に進むようになった。その後、VR体験に夢中になった。
こうした機器に今すぐお金をかけたくない人もいるだろう。そういう人を責めるつもりはない。無料に近い「Google Cardboard」や非常に安価なサムスンの「Gear VR」など、スマートフォン向けのシンプルな代替品は常に存在する。少しずつVRの世界に入っていくのもいいだろう。
しかし、HTC Viveは完全に別次元だ。今このテクノロジを自宅で利用できるのは、まるでSFのような話だ。純然たる魔法である。注意事項付きの魔法だが。このテクノロジは進化を続け、いずれワイヤレスになり、軽量化が進むだろう。他にも有力な製品が登場するだろうが、現時点では、HTC Viveがホロデッキへと近づく最高の手段だ(ホロデッキが欲しければの話だが)。ケーブルとハイエンドPCが必要なことを我慢できるなら、ホロデッキに必要な要素がすべて揃っている。
至高のVRを求める人のために、HTC Viveではモーションコントローラと部屋全体を対象とするトラッキングシステムがセットで提供されており、Oculus Riftはまだこれに及ばない。しかし、見事なルームスケールVR体験と引き替えに、利便性とコンパクトさをあきらめなければならず、スペース要件を満たす部屋も必要だ。
筆者も今回のレビューを担当していなかったら、こうしたテクノロジが今、自分の生活に必要だと思うに至ったかどうか分からない。HTC Viveは複雑で、もてあますほど大きく、同期する部品やケーブルが非常に多い。それでも、筆者はHTC Viveの近くにいたいと思う。すぐそばにいたい。そして、次に登場するアプリやゲームが待ち遠しくてたまらない。
信じられないほど素晴らしい体験がやってくる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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