セミナーを締めくくる特別講演に登壇したのは、シンフォニーマーケティングの代表取締役である庭山一郎氏だ。同氏は「マーケティングオートメーションの役割と効果・光と影」と題し、MA誕生の歴史やその役割などを説明しながら、MAの登場によって米国のBtoBマーケティングはどう変わったのかを解説。さらに日本企業がMAを導入する際の注意点などについて、豊富な実務経験をベースに説明を繰り広げた。
庭山氏は、MAを考える際のキーワードとして「デマンドジェネレーション」を掲げた。これは、営業部門へ渡す見込み案件の創出・発掘活動全般を指す言葉だ。そしてデマンドジェネレーションを行う際に、マーケティングチームが利用するのがMAであり、一方で営業マネジメント層が用いるのがSFAである。
「どちらも必要なものだが、日本ではMAの導入が遅れたため、現状はSFAばかりになってしまっている」と庭山氏は言う。
そもそもMAとは、第三世代のSFAを補完する役割を担って2000年頃に誕生したものだ。顧客データの名寄せを行い、メールを配信し、ウェブと連携するなどといった機能の提供が、当初のMAでは求められた。ここで庭山氏は、各ベンダーによるMAの変遷を追っていきながら、その生い立ちによりMAを区分けした。
同氏はこう強調する。「どういったツールから進化したMAなのかというのも選定の際には重要になる。なぜならば、もともとカバーしていた部分がそのMAの強みとなるからだ。自社に適したMAを選定するには、自分達がやりたいことがどこにあるのか考えることがとても大切なのだ」
MAの導入に失敗した企業のうち実に70%が、基本設計を行う前にツールやベンダーを選定してしまっているのだという。自社の目的を踏まえてMAを選ぶことはそれぐらい成否を左右するものなのである。
そして日本の企業がMAを導入した場合にはとりわけデマンドセンターが必要になると主張した庭山氏は、その理由の1つとして従来の引き合い依存型のビジネスからの脱却を掲げた。
「日本企業は本当に引き合いに依存している。それは別に悪いことではないが、引き合いに慣れてしまった結果、既存市場に既存製品を売るのは非常に強いものの、既存市場に新規製品を売ったり、新規市場に新製品を売ったりすることが、日本企業はとても苦手なのだ」と庭山氏は主張する。
そこで、今までアプローチできなかった市場に対して、引き合いをどうつくるかがデマンドセンターの役割となる。そのためにデマンドジェネレーションを行い、そこで使うツールとしてMAがあるのである。
「ここを営業に依存していたままではらちが明かないので、日本企業にはデマンドセンターが必須と言えるのだ」(庭山氏)
最後に庭山氏は、日本企業に合致したデマンドジェネレーションの進め方やそこでのMAの役割を示し、「戦略と組織があって初めて自社に最適なシステムがどのようなものかがわかるだろう」と持論を述べ、この日のセミナーの幕を閉じた。
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