サービス前に行ったテストでは、意外と女性プレイヤーのDAU(デイリーアクティブユーザー)が多かったという。男性はタイプがあわないゲームはすぐにあきらめてしまうのに対し、女性の場合は懸賞感覚で“あわよくば”という考えから、まめに遊ぶのではないかと北村氏は推察している。「一般的な認知度向上を目的と考えると、女性に遊んでもらえているのは大きい。手応えを感じている」(北村氏)。
スキルゲームは、ランキングが固定化しやすい傾向にある。実際にテスト段階では1位のユーザーがほぼ固定化してしまったという。ゲームでは運の要素も楽しむうえでは重要ではあるが、それでは競技性を打ち出す方針に反してしまう。日替わりであったり適宜新作を投入することで、後から入ってくるユーザーでも楽しめる環境を作り出すとともに、サービス開始時には100位にも賞金を付与するようにし、ゲームの外でランダム性を持たせモチベーションの維持を狙う。
賞金の付与というある意味直球なモチベーション向上策ではなるが、元手としているのは広告費。もっともここでの広告費は支払うほうの意味合いで、北村氏はダウンロードと引き換えに何らかの報酬を与える形で一時的な成果があったように見えるよりも、広告費を抑えてユーザーに直接還元するほうが、人気が出るのではと考えている。
また、企業が提供する懸賞について「本当にもらえるの?」という信用していない利用者が少なからずいるとし、それを信じるポイントとして「周りの人が本当にもらえたかどうか」という意見が強いという。賞金総額が高額であると目を引くが、少額の賞金であっても毎日行うことで、多くの利用者に新しい感動体験を提供したほうが、結果的に支持が得られると北村氏は考えている。ワンダーリーグはSNS(Facebook)との連携もとっているため「賞金の付与に関してはウソがつけないシステムになっている」(北村氏)と説明する。
ゲームのラインアップには、スパイシーソフトの「糸通し」やテクノードの「Touch the Numbers」などといったヒットタイトルを投入し訴求を図る。さらにバンダイナムコエンターテインメント(バンナム)の「パックマン」も近日配信予定としている。パックマンについては、バンナムの17タイトルを日本国内のクリエイターに開放し、スマホアプリなどのデジタルコンテンツとして二次創作を推進する「カタログIPオープン化プロジェクト」の取り組みのなかで、ワンダーリーグが二次創作者として採用されたもの。「通常の版権許諾であればかなり敷居が高いことが考えられるため、すごくタイミングが良かった」(北村氏)。
なおゲーム会社にはライセンス料やレベニューシェアなどを支払う形で許諾を得て、ワンダーリーグで提供する。経年している過去のタイトルでも収入が得られる上、新たに遊ばれる機会を提供できるとして、ゲーム会社にとってもメリットがあるのではないかと北村氏は語る。提供するゲームも、ワンダーリーグ向けに再構築して組み込む。ひとつのアプリで日替わりながらも複数のゲームを楽しめるのは、ユーザーにとっても手軽で魅力的としている。
普及に向けては、映像メディアであるテレビをいかに活用していくかもポイントだと語った。もっとも単にCMを流すという意味ではなく、番組として成立するものを検討しているという。うまいプレイヤーのテクニックを観戦するのは、eスポーツの楽しみ方のひとつ。もっとも作り込まれたゲームは派手な演出があり、対戦型のゲームであれば見栄えがするものの、スマホのシンプルなゲームの場合、数秒でプレイが終わってしまう場合も少なくない。「神業を持っているプレイヤーの素顔にアプローチするなど、切り口を考えていきたい。プレイヤーを集めるだけではなく、育てていく環境も整えたい」(北村氏)
海外展開もすでに計画している。年内には英語版をリリース予定。日本のタイトルに加え、海外でヒットしたゲームを盛り込む計画としている。カジュアルゲームはグローバル展開されているタイトルが少なくないため、世界各国で受け入れられる素地を持っているというのが、北村氏がグローバル展開に自信を持っている理由でもある。もちろん賞金も付与。海外への送金はPayPalとBitCoinのどちらかで行い、手数料を抑えるという。「世界展開ののち、2020年にワンダーリーグの世界大会を開催することが、ひとつの目標」(北村氏)
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