IDCが発表した2017年までの3Dプリンタの出荷台数の予測では、2014年の規模を金額で言うと約15億ドル。少なくとも2017年までは右肩上がりに増えていくとのことだ。また、シード・プランニングによる2020年までの日本の3Dプリンタ市場の予測では、2020年には4万台、約193億円の市場規模になるとされている。
「3Dプリンタはよく工作機械と比較されるが、日本の工作機械市場でだいたい1兆円あまり。それに比較すると、まだまだ少ない金額ではある。これがどうやって右肩上がりになっていくかというのは、色々予測されているが、私は正直わからない。ただ右肩上がりになるのは間違いないと思う。2020年には4万台となっているが、もう少し右肩上がりになるのではないか」(原氏)。
さらに、新ものづくり研究委員会による日本の3Dプリンタ市場の予測では、2020年の3Dプリンタに関係する全体の市場は21.8兆円。ただし、直接3Dプリンタを開発して販売したり、材料を開発して販売したりする市場は1兆円にとどまる。
ここにきて3Dプリンタが注目され、普及し始めたのはなぜか。その大きな要因は、光造形法の基本特許が切れていることに加え、熱溶解積層法(FDM)の特許が2009年に切れたことから、低価格の機種が販売されるようになったことだ。原氏によると、日本の大手企業の多くは3Dプリンタをすでに導入しており、これからは個人向けの製品が伸びると見られているという。
「3Dプリンタ、3Dスキャナ、レーザーカッター、そして切削加工機(CNC)――製造業からすると何ら変哲のない装置だが、その安い機種が出てきた。それぞれ数百万~数千万円だったものが、数十万円程度で買えるようになった。ソフトウェアの会社を立ち上げるかのように、個人でもメーカーを立ち上げられるようになった」(原氏)。
米国でも3Dプリンタ主導の動きがある。原氏が注目しているのは、Googleによる組み立て式スマートフォンプロジェクト「Ara」だ。このプロジェクトでは、モジュールを3Dプリンタで製造することを想定しており、2015年1月に約5000円からの価格で販売される予定。「これが実現すれば産業構造が変わるのではないか」と原氏は語る。
「100gの樹脂の成型品を作った場合、金型で作る場合と3Dプリンタで作る場合とどちらが有利か。あくまで目安でしかないが、425個くらいまで3Dプリンタが有利。ただ私の所感だと、2000個くらいまでなら3Dプリンタが有利なケースが多い。たとえば、2~3年前に売られていた3Dプリンタで作られたiPhoneケースは、海外からの輸入品で3980円。普通のiPhoneケースより1000~1500円ほど高いだけ。つまり、コスト的に十分見合う方法がある」(原氏)。
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