そこで同連絡会は2013年9月、岩手県釜石市で各社の公衆無線LANを無料開放する実証実験を実施。その結果から、災害時の無線LANの活用方法を周知する、ソフト面の取り組みが重要なこと、そして開放の実施には自治体同士のスムーズな連携が必要ということが見えてきたという。
そうした実証実験の結果を踏まえ、同連絡会では災害時の無線LAN開放に関するガイドラインを作成。無料開放する災害の範囲や、災害時の措置、周知方法などを明確にまとめている。大規模災害の定義に関しては携帯電話の動向に重点を置き、携帯電話のインフラが広範囲に被害を受け、利用できない状態が長時間継続する恐れがある場合と定義したほか、無料開放を発動する目安は、人命救助への活用を想定して72時間以内が望ましいと規定。大規模災害時に提供されるポータルサイトに掲載する情報に関しても、被災情報、検索エンジン、そして安否などの情報発信もできるSNSを用意するのが望ましいとする定義を設けているようだ。
さらに、携帯電話キャリアが提供する公衆無線LANサービスにおいて、「災害時はセキュリティよりも通信環境を提供することが重要」(大内氏)という観点から、キャリアの契約外ユーザーでも利用できる世界初の統一SSID「00000JAPAN」を設け、そこに接続してもらう仕組みも用意した。統一SSIDの名前は、釜石市の実証実験では「JAPAN」だったが、多くの機器のソート順を考慮し、最上位に現れやすいよう0を5つ付けたとのこと。「東京五輪に向け世界に発信したい」(大内氏)という思いも込められているそうだ。
なお、災害用統一SSIDによる無料開放の仕組みは、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの3社から提供を開始し、順次ほかの事業者にも広げていく方針とのこと。各社の開発が必要なことから現在準備を進めている最中で、2015年3月に仙台市で実施される「国連防災世界会議」にて無料開放の取り組みが実施されることから、それまでには環境整備が整えられるそうだ。
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