笹川氏によると、POSデータの取得という従来の自販機ではできなかったことを可能にしたことで、新たな挑戦も始めているという。
前述のとおり、POSデータは自販機が販売する商品の販売戦略を考える重要なファクターになったが、これを今度は自販機オペレーションの最適化に活用すべく、現在米国の経済学者チームと共同でデータ分析や研究を続けているのだという。
例えば、ホット商品の展開開始時期は駅によっても異なれば、駅の中の配置場所によっても異なる。この傾向を分析して、どのような場合にホット中心のオペレーションを転換すればよいかを定量化させるのだ。「自販機には設置場所の環境や世の中の動きによってノイズが起きやすいが、それを除去すれば大きなトレンドの動きが把握できるはずだ」(笹川氏)
また、POS分析の結果、月2回以上購入している顧客が売上割合の半数以上をけん引していることと、そのリピート購入者が全体の10%前後しかいないことがわかり、顧客のロイヤルカスタマー化が成長戦略の中で非常に重要であると確認。今年5月には自販機の会員制度を立ち上げた。今後は、会員とのコミュニケーションを強化していくための施策を打ち出していくのだという。
重要なのは、これらの取り組みのすべては、今までブラックボックスだった自販機における消費者の購買行動を“見える化”したことで生まれたものだということだ。
見えなかったものが1つでも見えてくれば、そこからわかることは事業にさまざまな“気づき”を与え、事業がどこへ向かうべきなのかを示してくれる羅針盤となる。これからのマーケティングは経験や勘、根拠のない仮説だけを頼りにするのではなく、消費者の購買行動が生み出したビッグデータから法則性やマーケティングの盲点を導き出すという作業が不可欠になるのである。データには説得力がある。同社は今後も、POSデータの分析によって得られた気づきをビジネスの推進力にしていきたい考えだ。
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