冒頭、デイブがアンドリーセンの紹介を彼独特のいつものおどけた口調でこう切り出した。
「いま最も革新的なVCとして知られるアンドリーセンホロヴィッツですが、そのファンド運用額は3ビリオン(約3000億円)で…って3ビリオンダラー?おったまげたなこりゃ!」
デイブのみならず、VCをやっているものなら誰でも、ファンド総額の意味するところは痛いほど良くわかる。3ビリオンもの巨額資金を運用するアンドリーセンは文字通り桁違い、業界ダントツの存在なのである。
アンドリーセンは投資方針を問われて、こう答えた。
我々が投資する創業者は、彼ら自身がなるべく長く、何十年もCEOであり続ける事を望む。
この議論は従前彼らのブログ等で発信しているが、彼ら独自の統計の結果をもってしても、ファウンダーが経営者として長期間コミットメントしている会社はその後に業績、時価総額とも大きくなる傾向がある、との事である。
確かに、Apple、マイクロソフト、Google、Facebook、業界を代表するこれらの企業はいずれも創業者が長期的に経営に携わっている。
一方で、データは他の事も我々に教える。それは、ファウンダーはいつの時代も同じ理由で失敗する事が多いものだ、という事だ。
また、ファウンダー達は経営経験が全く無い場合も少なくない。ゆえに我々は、スタートアップにすべからく必要となる、リクルーティングや、PR、ビジネスディベロップメントなどについて支援するためのチームを、当社自らの社員として数多く雇ってる。
大きな成長可能性のある事業に挑戦する経営者が長期間にわたり経営に携わる事を期待し、そのために経営支援を惜しまない。 それが現代の最高峰VCの基本戦略なのだ。
Software is eating the world
少し前にアンドリーセンが発信したこの 「インターネットコンピューティングが、あらゆる産業を革新していく」という議論は、瞬く間に業界を席巻した。セッションでもこれについて議論が及んだ。
スマートフォン、タブレットPCは大きな流れを作っており、ウェアラブルコンピューティングの今後も興味深い。ちなみにGoogle Glassを見た瞬間に、私はそれに恋に落ちたくらいだ。
このような技術革新と、各産業カテゴリの組み合わせを見てみれば、その進化は一目両全だ。
これまでソフトウェアはメディアを変えてきた、リテール(EC)もしかり、他のサービス産業の多くもそうである。
近い将来、ソフトウェアは教育を変えていくだろうし、ヘルスケアもそうだが、規制が多すぎるという点でにおいて難しさもある。
ずれにせよ、ソフトウェアによる革命はまだまだ世の中を「食い尽くして」いくであろう。
「歩きながらスマフォを見ていて人や車にぶつからないように注意しましょう」なんて言われる世界を、ほんの少し前まで誰が想像できただろうか?
その他にもAngelListやGoogle Ventures、TechStarsなどから多彩なスピーカーが登壇し、興味深い議論が一日にわたり繰り広げられた。
本稿は「米国一線級ベンチャーキャピタリスト達による業界への提言 – Pre Money -」の転載です。
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