自宅テレビをHD画質で外出先で視聴できる「Slingbox 350」 - (page 3)

LAN上では映像のコマ落ちはほぼ皆無。モバイルからはLTEでの接続を推奨

 映像のパフォーマンスについて見ていこう。まずLAN上では、通常のテレビを観ているのと変わらないなめらかな動きで表示される。これはPCの場合も、無線LANを経由してスマートフォンやタブレットで表示した場合も変わらない。動きが激しいスポーツなどの映像でも、特に固まったりする症状は見られなかった。HD画質でデータ量が以前より増えていることを考慮すると、かなりのパフォーマンスの高さだ。

 WAN経由で外出先からアクセスして快適に視聴できるかどうかは、回線速度に大きく依存する。iPhone 4Sから3G経由でアクセスしたところ、画質をHQからSQモードに落としても2~3秒ごとに固まってしまい、観られたものではなかった。しばらく同じチャンネルをつけっぱなしにしていても、最適化されることはないようで、コマ落ちが減るなどの変化は見られなかった。

 ただしこれは3Gの場合で、iPhone 4SからNTTドコモのLTEルータ「L-03E」を経由して再生したところ、回線以外の条件がまったく同じであるにもかかわらず、ほとんどコマ落ちのない快適な視聴が行えた。さすがにスポーツ番組などでは動きが激しいシーンで一時的に固まることもあったが、ニュースやバラエティ、アニメなどの番組であれば、LAN上で視聴しているのと見た目に区別がつかない。こうした点から、屋外でスマホを使って試聴する場合、3GではなくLTE、またはそれに準ずる速度の回線が利用できることを、ひとつの条件とするのがよさそうだ。言うまでもないが、転送量の上限がある場合はくれぐれも気をつけたい。

 なお、リモコンなどの操作が反映されるまでの秒数は、LAN内だと5~6秒、WAN経由だと十数秒はどうしてもかかってしまう。これは製品の仕組み上どうしても起こることであり、過去のモデルに比べると多少なりとも改善されているのだが、ザッピングしながらの視聴といったスタイルには不向きだ。ワンセグやフルセグのチューナなど、ほかの視聴方法でも似たり寄ったりではあるが、購入にあたっては念頭に置いておきたい。

  • こちらはiPad用のアプリで表示した状態。メニューはオンスクリーンで表示され、タップで操作可能

  • iPad用アプリもPC同様、実物そっくりのスキンによるリモコンが使用できる

  • こちらはAndroidアプリ。デザインこそ異なるが機能はほぼ同様だ

1万円台で入手可能、D端子ケーブルも付属しコストパフォーマンスは高い

 本製品の直接のライバルとなるのはVULKANO FLOWということになるが、両者の相違点は従来モデルと大きくは変わっていない。本製品のメリットは、対応リモコンの数が国内向けCSチューナなども含めて圧倒的に多いことと、日本語のマニュアル冊子が本体に付属すること、またD端子ケーブルが標準添付されていることだろう。いっぽうのデメリットとしては、無線LANに対応せず、有線LANのみであることが挙げられる。

 このようにトータルで見ると本製品のほうがメリットは多いのだが、従来モデルはかなりの価格差があり、Slingboxはやや割高に見えてしまっていた。しかし今回のモデルは従来のSlingbox PRO-HDに比べておよそ1万5000円も安い1万9800円という価格設定で、VULKANO FLOWに十分太刀打ちできる価格になった。本稿執筆時点では3000円オフになる乗替キャンペーンや、購入後30日のキャッシュバック保証も行われているので、これらを活用すればさらにお得に入手できることになる。

 個人的には、リモコンのデータがきちんと用意されていることは使い始めるにあたって大きなアドバンテージとなる上、D端子ケーブルが標準添付されているなど、トータルでのコストパフォーマンスは高いと感じる。また特定のスマホやタブレットでしか使えない外部チューナと比較した場合は、iOS/Androidを問わず使え、またPCからも利用できる汎用性の広さは大きな強みになる。外出先から自宅のテレビを見たい人はもちろん、自宅内のあちこちでHD画質によるテレビ番組を楽しみたい人にとって、購入候補の最右翼となる製品だといえそうだ。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]