NTTグループの“第3のアクセス”Wi-Fi戦略--クラウドで新価値創出へ - (page 2)

 そのため、Wi-Fiスポットを利用するデバイスもスマートフォンが多くを占め、「すべてのスポットの合計で、1日当たり1億台の端末がアクセスポイントを通過している」(小林氏)とのこと。速度面ではLTEと比べ必ずしも高速とは限らないケースもあるが、通信の安定性はWi-Fiスポットの方が高く、大容量コンテンツのダウンロードなどでは有効だとしている。

  • 複数の事業者のアクセスポイントとして動作する共同型のアクセスポイントを導入している

  • アクセスポイントの数は2011年度末から2012年度末の間に劇的に増加している

 2つ目の事業は、Wi-Fiネットワークを用いたクラウド事業だ。スマートフォンのトラフィック解消策としてWi-Fiネットワークの整備が進み、結果としてコンビニエンスストアや空港など、多くの人が訪れる場所にWi-Fiスポットが設置されることとなった。NTTBPではこれを活かし、Wi-Fiスポットのエリア内にいる時だけ利用できるコンテンツや情報を提供する仕組みを構築。それらを新たなビジネスにつなげているのだという。

 たとえば、セブン&アイホールディングスでは、店舗に設置したWi-Fiスポット内でコンテンツやクーポンなどを配信する「セブンスポット(7SPOT)」を提供している。また、福岡市の地下鉄や観光案内所にWi-Fiスポットを設置し観光情報などを提供する「Fukuoka City Wi-Fi」や、西武ドームにWi-Fiを設置し埼玉西武ライオンズに関する情報をリアルタイムに提供する取り組みなどもある。NTTBPではサービスを提供する企業や自治体に合わせ、それぞれに特化した仕組みを構築しているとのことだ。

  • 今後はネットワークの卸売だけでなく、クラウドによる付加価値を加える事業を推進するという

  • セブン&アイホールディングスの「7SPOT」など具体的な導入事例を説明

 さらに3つ目の事業として、端末開発に関する取り組みが紹介された。これまでNTTBPでは、3G、LTE、Wi-Fiなど、さまざまなネットワークに接続できる「PWR(Personal Wireless Router)」を開発、提供してきた。しかし、その多くの機能がスマートフォンに搭載されてしまい販売が振るわなくなってしまったという。ただし今後は、「Google Glass」などのウェアラブルデバイスが増えてくることで、再びPWRのような端末のニーズが高まってくるのではないかと、小林氏は見ている。

 また最後に、過去の経験からWi-Fiネットワークの今後について持論を展開。携帯電話のように個別のシステムを単独で提供する場合は、エリアや端末が成功の鍵を握っており、それを実現するには膨大な投資をする必要があったという。しかし、個々のシステムが競う時代から、さまざまなシステムやデバイスが、相互に補完し合う時代になってきていると小林氏は語る。それゆえ、今後はワイヤレスシステムの高速化によるWi-Fiスポットの高速化や、Wi-Fi対応デバイスの増加などにより、通信事業者や端末の縛りから解放された、自由なネットワークの構築が可能になるとの見方を示した。

  • 停滞するPWR事業だが、小林氏はデバイスの多様化で再びニーズが高まるとの見解を示す

  • 対応デバイスの増加とさらなる高速化で、Wi-Fiによる自由なネットワーク構築が可能になると予測

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