マイクロソフトとインテルの蜜月は終わったのか--Wintel同盟の今後を考える - (page 3)

Shara Tibken (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2012年10月01日 07時45分

 MicrosoftがIntelのチップライバルと提携し出したため、Intelはほかのソフトウェアメーカーに目を向けるようになった。2011年9月、Intelの開発者会議で基調講演を行ったOtellini氏は、同社がGoogleのAndroid OSとの連携強化を開始したことを発表した。IntelとGoogleは、Intelのチップ向けにAndroidを最適化し、Android携帯電話のメーカーがより簡単にIntelプロセッサを利用できるようにするつもりだとした。

 IntelはAndroidに大きな投資を行っているが、費やしている金額については具体的な情報を明かしていない。同OSに対するIntelの傾倒の度合いを示す例を1つ紹介すると、同社はこの数年で、Android担当のエンジニアを約1200人雇っている。同社はWindows担当エンジニアの人数を詳しくは公表していないが、数千人規模である可能性が高い。

 Intelは独自のオープンソフトウェアの開発にも取り組んでいる。Nokiaと共同で開発した「MeeGo」と呼ばれる最初の試みは失敗したが、新バージョンのOS(名称は「Tizen」)がサムスンと共同で開発されている。一部報道によると、サムスンはTizenスマートフォンを2012年後半か2013年前半にリリースする予定だという。

新たな関係

 この数カ月でMicrosoftとIntelの間の緊張状態は緩和され始めている、と一部の関係者は話す。ARMベースのチップに対応するWindowsバージョンであるWindows RTがちょっとした問題に直面したことが、その理由の1つだ。

 Microsoftは、Windows RTを搭載したタブレットおよびコンバーチブル型ノートPCを製造できる企業の数を制限した。設計をより強くコントロールして、デバイスが確実に一定の基準に達するようにすることが目的の1つだ。しかし、Hewlett-Packard(HP)や東芝を含む一部のPCメーカーは、Windows RTデバイスに関する当面の計画を中止した。そして、2012年中の発売が難しいデバイスがほかにもあるかもしれないとの憶測もある。

 将来的にはWindows 8デバイスに取り組む計画を持っているHPと東芝は、MicrosoftがSurfaceタブレット2機種を発表するという予想外の方法を採ったことを受けて、方針を変更した。Intelがそれらのデバイスについて前もって知っていたことはほとんどなかったが、それはMicrosoftのほかのチップパートナーやPCパートナーも同じだった。MicrosoftがSurfaceを開発した理由の1つは、パートナーのデバイスの品質に懸念を抱いていたことだ、と考えられている。

 25日のOtellini氏のコメントとは異なり、Windows 8は順調なように思える。Intelは、Windows 8タブレットのおよそ20機種についてPCパートナーと協力している、と述べた。また、27日にイベントを開催し、それらのデバイスの一部を披露した。

 Intel関係者が26日に米CNETに語ったところによると、IntelとMicrosoftの30年にわたる協力関係は「かつてないほど強固で、Windows 8は両社がともに革新を披露する新たな機会を提供してくれる」と述べた。新機能には、タッチ機能や電力管理、セキュリティ、グラフィックス、マルチメディアパフォーマンスなどが含まれる。

 一方Microsoftは、Windows 8が同社の歴史の中で「最もテストされ、レビューされ、準備が整ったOS」であると繰り返したのみで、それ以上のコメントは控えた。

 結局のところ、MicrosoftとIntelは今でもお互いを必要としている。両社はモバイルデバイスの分野で進歩してはいるが、彼らの売り上げの大半はいまだにPCに関連するものだ。ARMベースのチップメーカーは将来的にコンピュータ向けのチップも作ると述べているが、現時点において、ノートPCおよびデスクトップ向けチップの最高の選択肢は依然としてIntel(またはAMD)のプロセッサだ。

 もしWindows 8が失敗したら、それはIntelとMicrosoftにとってまずいことになる。成功すれば、両社がモバイルの世界でようやく存在感を発揮する大きなチャンスになるかもしれない。いずれにせよIntelとMicrosoftは、これからも長い間、運命を共にすることになるだろう。

ロサンゼルスで開催された、謎に包まれていたMicrosoftのイベントで、全く新しい「Surface」タブレットを発表するMicrosoft CEOのSteve Ballmer氏。
ロサンゼルスで開催された、謎に包まれていたMicrosoftのイベントで、全く新しい「Surface」タブレットを発表するMicrosoft CEOのSteve Ballmer氏。
提供:Josh Lowensohn/CNET

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]