シャープ次期社長の奥田氏は実務派、現場主義者--会見詳報 - (page 2)

生産現場は宝の山--現場主義者の側面見せる

 質疑応答では、今回の社長人事が業績悪化の引責辞任なのかという質問が飛び、これに対して片山社長が回答。

 「赤字業績から逃げることが、責任の取り方であるとは思っていない。業績回復の筋道を立て、責任をまっとうするのが経営者のあり方だと考えている」とし、「町田会長は、できるだけ早く辞めるといっていた。相談役への就任は自然な流れ」と説明した。町田会長、片山社長が、新体制で代表権を持たない理由については「奥田次期社長が最もやりやすい体制を採用したため」と回答した。

 さらに片山社長は「亀山工場、堺工場は、売上高の急拡大、収益改善、ブランド力向上に貢献した。また世界のテレビを液晶に置き換えることができた。いまの業績はその裏返しであり、昨今の超円高は、誰にも予想できなかった。昨年4〜6月から収益が悪化しており、今年1月第2〜3週からとくに厳しいと感じた。だが、昨年来の戦略の方向性は間違っておらず、これからも新社長とともに改革を進めていく。2007年の社長就任以来、液晶テレビの事業拡大に大きな功績をあげるとともに、2008年以降、新エネルギーカンパニーへの取り組みの仕掛けを行ってきた。その仕掛けを事業として一層具体化する上で、二人三脚の体制によって全力でサポートする。刈り取るのはこれからである。グローバルビジネスではスピードが重要であり、競争に耐えうる体制づくりを行っていく。現在業界にとって、大きな変曲点を迎えていると捉えている。新しい商品を創出し、市場を創造するのがメーカーの務めだと考えており、エレクトロニクスを応用したモノづくりの可能性はクルマ、エネルギー、ロボットなど、まだまだ無限大にあると考えている」などとした。

 また、奥田次期社長を選んだ理由についても改めて言及。「非常に誠実。実務派、現場主義者である。スマートフォンや液晶テレビなど、日本にもグローバルスタンダードが入ってきており、しかも日本の市場には飽和感がある。今後、グローバルで戦える体制をつくり、調達、生産、販売のオペレーションをリードできるのは、奥田のほかにはいなかった。私の前にAVシステム事業本部長を約3年間務めており、液晶はもとより、液晶テレビやグローバルマネジメントにも精通している」と語った。

 これに対して奥田次期社長は、「現行の4つのドメイン(デジタル家電事業、アナログ家電事業、ソーラーエネルギー事業、エンタープライズ事業)体制は踏襲するが、やり方を改革し、グローバル競争への対応力を強化していくことになる」と抱負を語る一方、「シャープマレーシアでは、グローバルな部材調達を担当し、IPOの仕組みを社内で初めて作った。国内で地デジがスタートする約半年前の2003年5月から2006年3月まで、AVシステム事業本部を担当し、業界で初めて地デジ対応のAQUOSを商品化した。調達本部では、液晶を含め、亀山工場、堺工場への部材調達を担当した。その後、海外生産拠点づくり、ブラジルでの新販社設立、インド拠点の機能統合など、新たな仕組みを作ってきた。インド市場の開拓に携わったときには、文化、言語、民族の多様性を実感した。この市場では画一的なマーケティングや広告宣伝は用をなさず、むしろ口コミの重要性を痛感した。また、生産現場は宝の山であるといえ、各々の現場で仕事をしなければ実感できないことも多い。こうした経験を生かしていきたい。私の長所は、現場主義であること。そして、社員の能力を引き出すべく、率先垂範をモットーとしている」と語った。

 さらに「シャープは注目すべき技術を多く保有しており、その応用によって発展の余地は大きい。マーケットインの考え方に基づき、地道に新商品を開発していく」とした。

 なお、奥田次期社長は「2011年度通期の決算発表までには、新たな戦略とビジネスモデルの改革について説明する機会を持つ」との考えを示した。

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