ここまでの議論からすると、震災後の対応を見ていても日本企業はどこかちぐはぐな対応が散見され、グローバル対応でもどうなのかという疑問がわいてしまうところだ。では、いま日本企業が置かれているグローバル化の波は実際どのような状況になっているのか。日経BPの星野氏は次のように話す。
「新興国市場にいかに早く浸透していくか、これが日本企業が抱えている課題です。現地で製造した在庫を市場に出せば売れるなんて時代は終わっている。現地企業に任せておくのではなく、自ら個別のマーケット事情を読み、市場ごとに合わせた製品を出していかないと新興国の企業に負けてしまう」
アイティメディアの浅井氏は次のような指摘をする。
「建設機械のコマツは世界での生産を効率化させるために設計部門を世界標準で対応させる組織にしました。ここから各拠点に設計図面を配り、個別の設計変更や不具合などの対応時間を劇的に減らした。タイムラグを極力軽減したわけだ。トヨタは日、米、欧の3極にサーバを置きネットワークを構築していた。しかし、新興国の拠点同士でやりとりするビジネスも生まれてきている。そこでシステムも網の目のように張り巡らすネットワークに変えようと。グローバル企業ではそもそも日本から生まれた企業であっても、本社が日本になくてはならないという理由はない。日本での売上げが全体の20%程度という日本企業はたくさんある。そこで日本にいるIT部門の人たちがどう対処していくか」
星野氏は花王の例を挙げ、世界標準のシステムを海外で構築して、日本にそのシステムを逆輸入させる手法を話す。
「花王は2000年前後から新興国に進出してそこでシステムを統一していった。そのアジアで作ったSAPのシステムを日本に持ってきた。当然日本人スタッフは反発しましたが、トップのリーダーシップによって実現した。ここからは一般論だが、日本の会社だから日本で作った仕組みが一番いいということにはならない。もしベストだというのなら、外国人スタッフにも論理的に説明できなくてはならない。『これまで長いつきあいのメインフレーマーだから今回もそこから製品を買う』なんて説明は理解してもらえない」
また、朝日インタラクティブの別井は海外進出を目指す中堅・中小企業の悩みについて解説する。
「日本でも大手と呼ばれる企業ならいざ知らず、中堅・中小企業では、海外進出したいがICTの問題について相談するにはどこにいけばいいのかと困っている会社が多い。インフラ事情などの情報も含めてパートナーとなってくれるところを探している」
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