インターネットが変革する4つの業界 - (page 2)

Jason Hiner (TechRepublic) 翻訳校正: 石橋啓一郎2011年09月15日 07時30分

2.ヘルスケア

 2011年にもなって、未だにヘルスケアの自動化について議論しているというのは、恥ずべきことだ。ヘルスケア業界は、最新の科学研究と最先端の機器を生かして人々の健康を向上させる業界だが、ヘルスケア事業者は患者の情報を適切にやりとりすることができず、依然として非効率的な書類仕事の山に押しつぶされ、コストは上がり、時間は無駄になっている。少なくとも、これが米国の状況だ。

 しかし米国政府は、2014年までに米国民全員が電子医療記録(EMR)を利用できるように施策を推進している。この最近の促進施策はすでに2年間実施されているが、詳細はまだ詰められている最中であり、いくつか法的な懸念もある。とにかく、電子医療記録(そして、ヘルスケア事業者ではなく患者がコントロールする、持ち運べるEMR)への移行は、ずっと延び延びになっている。

 これが実現した時には、ヘルスケア業界への投資は古い手順や製品から離れ、ITシステムに流れ込むだろうが、それと同時に、患者は自らのヘルスケア体験を「所有」できるようになる可能性がある。これによって、価格や、事業者の選択、事業者の説明責任に予想できない変化が起こるかもしれない。端的に言えば、これこそ今後起ころうとしている業界の仕組みの大きな変革であり、起こるのは政治家がしゃべり続けていることばかりではない(ヘルスケア業界へのメモ:もはや万事休すだ)。

3.書籍出版

 Amazonは、多くの人の本の買い方を完全に変えてしまったが、これは2つの形で起こった。

 第1に、オンラインでの本の購入は、早く、簡単に、しかも非常に安くなった。Amazonのおかげで、インターネット上で最初に快適に購入できるようになったものの1つは本だった。成功の大きな理由の1つは、AmazonはBarnes & NobleやBordersなどの他の大手書店チェーンと同様に大きな割引を提供しつつ、多くの専門書店のように大量の無名の本を取りそろえたことだ。

 第2に、AmazonのKindleは電子書籍を普及させ、紙でできた商品を配送するというプロセスを完全に取り除いてしまった。その代わり、Kindleは電子ファイルをインターネット越しに、電子書籍リーダー、タブレット端末、あるいはスマートフォンに配信する。ただし、これは消費者にとっては革命だったが、インターネットはこれまで書籍の出版プロセスに対しては大きな影響を与えてこなかった。出版プロセスは依然として出版社に支配されており、その出版社は、何を出版し、どの本が広告に値するか(どれだけ売れる可能性があるか)を判断する門番でありフィルターの役割を果たしている。

 ニュース業界がそうだったように、インターネットは本の出版プロセスを完全に民主化しようとしている。電子書籍リーダー、電子オーディオブック、オンデマンド印刷の組み合わせが参入障壁を下げ、著者は出版会社を必要としなくなった。彼らは自分の作品を直接大衆に届けている--より正確に言えば、多くの場合、彼らはニッチ領域の読者に作品を直接届けている。たった5000冊から1万冊しか売れなくても十分な利益が上がるようになると、書籍出版の経済は完全に変わる。古い出版業界においては、この数字はほとんどの本の平均的な売れ行きで、著者はほとんど稼げず、出版社はこれを失敗と考える(収益のほとんどと、著者への支払いのほとんどを、人気タイトルが占めている)。新たなインターネットの世界では、ずっと多くの本が(電子書籍として)出版されるようになり、質の低いものも多くなるが、プロセスもずっと民主的になり、より多くの人がニッチな著者として生活できるようになるだろう。従来の出版社は、本当に人気のあるタイトルの広告エージェントへと姿を変えるだろう。

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