アクセンチュアの執行役員経営コンサルティング本部総括本部長である西村裕二氏は、「今のところ事業としては考えていない。会津にヒト、モノ、カネが集まるような環境を作りたい。そのために、会津の良さをわかってもらうという活動をしていきたい。福島を支援したいという顧客やパートナー企業は多いが、会津のよさがまだ十分に伝わっているわけではない」と意欲を述べた。ビジネスプロセスのアウトソースや開発の仕事などを積極的に持ってきて雇用を生み出したり、情報通信環境を整備して遠隔でも仕事ができるようにしたりすることを考えているが、中長期的には自然エネルギーなどの資産を活かした経済成長プランを描くことを支援する方針だ。
このように、復興や将来の社会づくりに向けてITの分野が活用されるが、既に具体的に始まった事例があるという。会津大学とIT関連企業8社が7月12日に「会津ソフトウェア・リンケージ・ファーム協議会(会津SLF協議会)」を設立した。これは、避難した人なども含めた求職者や失業者向けの実践的なIT講座を開講し、市場が求めるスキルを身に付けた人材を輩出し、IT産業で雇用してもらうことを目指す取り組みだ。
会津大学理事の岩瀬次郎氏は、「ソフトウェア・リンケージ・ファームをスタートさせ、スマートフォンなど携帯電話系の開発スキルの向上などを進めているが、ITコンサルティングのマネジメント能力というのが正直欠けていた。アクセンチュアに入ってもらうことで、ITの技術だけではなく、マネジメント能力を付けてもらうことにもつながるのではないか」と語った。加えて、iPhoneやAndroidのアプリなどIT産業の競争はグローバルなので、世界で展開しているアクセンチュアに直接、間接的に支援してもらうことはすぐにプラスに働くと期待した。
こうした一方で県としては、福島県商工労働部次長である鈴木精一氏が「地震、津波、原子力発電所の事故、風評など、さまざまな心配がある中でとどまっているわけにはいかない。地域の産業、雇用を守り、創っていくために、地域の方や企業と共に頑張っていかなければならないので、復興ビジョンを現在策定しパブリックコメントを募っているところだが、今回の取り組みはこうした方向と同じということで、県としても大きな期待を寄せている」と歓迎した。復興ビジョンには、以下3つの理念を掲げているという。
ただし、最も重要な緊急対応課題である原子力災害への対応、克服に取り組んでいるが、こうした緊急な対応をしつつも「新たな時代をリードする産業を創出すると共に、災害に強い未来を開く社会づくりや再生可能なエネルギーの飛躍的推進による新たな社会づくりなどに取り組んでいきたい」(鈴木氏)とした。
最後に、菅家市長は「この会津から復興の取り組みをはじめ、会津が元気になることで、世界が注目する福島の復興につながるものと確信している。そういう意味で、アクセンチュア、会津大学との今回のさまざまな取り組みを、1日も早い福島県の復興につなげていきたいという願いを持っている。東日本大震災で被害を受けた他の地域にも共通の問題があると思うので、いろいろなノウハウを提供していきたい」と締めくくった。
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