これらは、Carr氏が(正当な理由から)懸念している浅はかさが、明らかに現象として現れた例だ。つまり、実際に頭を使って考えるという困難な作業を行う代わりに、インターネット上で瞬時に入手できる簡単な答えを受け入れるという傾向だ。ただし、この議論には2つの側面がある。インターネットの美点は、人々が検索やソーシャルなつながりを通して、自分とよく似た考えを持つ個人を見つけられることだ。それが、セルフタンニングに関する権威であろうと、苦悩するNew York Metsのファンであろうと、17世紀フランス文学の批評家であろうと、あらゆる人を発見することが可能だ。このような話題は、マスメディアが詳細に取り上げるための正当な理由を見つけられないものである。しかし、インターネットのおかげで、そうしたコミュニティーは生産手段に大きな投資をしなくても発展することができる。
言い換えると、インターネットで重要なのは何をクリックするか、ということだ。20世紀に近代的な文明の利器によって皆が肥満になると、世界中にジムが建設され、人々はそれまで生存するためだけに燃焼していたカロリーをジムで燃焼できるようになった。21世紀には、インターネット情報という近代的な文明の利器によって、自分の精神の発達に不安を抱える人々は、脳を鋭敏な状態に保てるように努力することを余儀なくされるだろう。
米国成人の3分の2が肥満であることを考えると、Carr氏の主張が的を射ていることは明らかだ。しかし、インターネットは、深遠な概念に本当に興味があるが教育を受けたり豊かな文化的体験をする金銭的余裕がないという人々に対して、視野を広げる機会を提供するのも事実だ。
今では、子供に泳ぎを教えるとき、プールの深い場所へ子供を放り込むことはしない。知性の浅瀬に足を踏み入れることは、そこから先へ少しでも進む意思があるのなら、悪いことではない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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