グーグルの次なるターゲット--本格化するエンタープライズ市場への取り組み - (page 3)

文:Tom Krazit(CNET News) 翻訳校正:川村インターナショナル2010年04月19日 07時30分

 Googleは「80%のソリューション」を目指している、と権威そのものであるCEOのEric Schmidt氏が言う。「われわれのアプリケーションは、現行のものを完全に置き換えるのではない。80%に到達することがわれわれの戦略であり、かなりの現実的な価値を提供できると考えている」(Schmidt氏)

 当然、こうしたことを理解している企業は、Googleだけではない。Atmosphereカンファレンスの部屋で大きな存在だったMicrosoft(おそらくこの移行により最も多くを失うと思われる)は、2010年に「Office 2010」の発売とあわせて、ウェブベースのオフィス生産性ソフトウェアを提供することを計画している。また数名の参加者が、自社内でクラウドコンピューティングを採用するための画期的なアプリケーションとしてSalesforce.comを挙げた。そしてBenioff氏は、トレードマークとなっている才能を発揮して、参加者に自社の製品を宣伝した。なお、参加者の約半数が、既にSalesforce.comの顧客であることを認めている。

 しかし、これはGoogleのカンファレンスだった。Googleはカンファレンスの冒頭で、Google Docsスイートの土台となるソフトウェアを改良し、既存製品の動作を高速化し、オフライン版からのドキュメントの忠実性を維持する能力を向上したと発表した。

 Googleは、同社ビジネスのあらゆる側面に対する質問に回答できるよう、エンジニアリングの重鎮Alan Eustace氏、Jeff Huber氏、Vint Cerf氏をそろえた。検索設計の権威Marissa Mayer氏とAndroidのリーダーMario Queiroz氏も登場した。そしてSchmidt氏が、1日の締めくくりに、セキュリティから管理のアドバイスまで、あらゆる質問をさばいた。

 Googleのメッセージはシンプルだ。同社はこの移行を、同社の膨大なエンジニアリングとインフラストラクチャのリソースをかけて後押ししている。Googleは12日、エンタープライズへの忠誠を誓い、同社の検索における強みと革新的な製品を基に、従来のコンピュータ業界の企業の中で、テクノロジがどのように進化していくのかが最も良く見えていると主張した。

 Googleの観測筋は、同社が検索に依存しない収入源を開発するのを辛抱強く待っていた。現時点では、いくつかの実際の成功事例にもかかわらず、Google Appsからの売り上げは、同社の総売上高の3%に満たない。数字は百万ドル単位ではなく十万ドル単位だ。

 「Google Chrome」は無料だ。Androidと「Google Chrome OS」も(ハードウェアメーカーにとっては)無料だ。Google Appsは、企業顧客にとっての費用はそれほど高額ではない。しかし、1ユーザー当たり年間50ドルというのは、結構な金額になる。

 エンタープライズIT市場は10年間の休眠期間を経て、変化を受け入れ、変化を起こすために費用をかける準備ができたようだ。Googleはこの動きに加わりたいと考えている。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ

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