iPhone市場の現状について長くなったが、今日の本題はiPhoneによるブランディングについてだ。これまでもケータイの待ち受け画面や着うた、ストラップなどの様々な商材を活用して、ブランドやキャラクター、製品のPRが行われてきた。このデジタルPRの流れは、iPhoneでも引き継がれているが、少し様子が変わってきた点がある。
「アプリをPRで活用する事例は増え続けています。ファッション系、スポーツ系、ショッピング系など、非常に多岐にわたっています。例えば新作の映画のPRに、映画にちなんだゲームがリリースされるようになりました。チラシやテレビコマーシャルと共に、AppStoreでゲームを配布し、もしそれがiTunesのランキングに載れば、良い宣伝効果になります」(YaCC氏)
好例はウルトラマンアプリだ。2009年12月に公開された映画「ウルトラ銀河伝説」では、ゲームから公式サイトや予告編動画が見られたり、劇場で提示すると割引が受けられる割引券が入っていたり、映画を鑑賞する前から楽しませてくれる。
これと同様に、2010年2月に行われた文化庁メディア芸術祭では「JMAF navi」というナビゲーションアプリがリリースされた。このアプリはクウジットの位置情報技術を活用して、美術館の中では作品紹介やアーティストのコメントビデオを自分がいる場所に合わせて表示できる仕組みになっている。また、会場から直接Twitterで感想を投稿できるほか、会場に行く前から楽しめるコンテンツも用意されており、美術館に行く前、美術館の中、美術館の外へと、楽しみを拡げるメディアとなっている。
「これまでのケータイコンテンツと違い、アプリが高度に設計できるため、人の日常や購買にフィットした『行動』をデザインするPRや広告の設計が可能になりました。例えばナイキは、サッカーシューズのブランドアプリをリリースし、世界トップクラスの選手とのレッスンが4週間楽しめて、靴を買うとさらに1年分のレッスンが見られるようになります」
「さらに音楽は、海外だと盛り上がっていたファン向けのアプリが日本でも出てきました。m-floの10周年記念アプリはアルバムの音楽が聴けて、ユーザーがどの曲を選んだかによって、ベストアルバムが選曲されます。今後新曲を出すたびにアプリが出てくる、という流れも普通になってくるかもしれません」(YaCC氏)
行動がデザインされたPRアプリには、NHKの番組「ブラタモリ」から出た「ブラアプリ」がある。このアプリを使うと、タモリさんが歩いた場所、写真を撮ったポイントをGPSと電子コンパスを元にした矢印で示してくれて、その風景にたどり着くとコレクションが増えていく。個人的にタモリさんが好きな僕としては、たまらない1本だ。
また、ファッションや雑貨の世界にもアプリリリースが続く。モード系のブランドはすでに揃っていて、さらに日本では「Staff Style by Urban Research」という、ショップ店員が着ている服がどこで売られているかわかるアプリが登場している。またYOOX.comはクリスマスシーズン向けに、ショッピングとギフトが可能なアプリを出した。これも、行動のデザインが効いているアプリ群である。
iPhoneがPRや広告のツールとして最適な点について、YaCC氏は次のように語る。
「今までのケータイ端末は国別、性別、年代別とターゲットを決めて作ってきました。iPhoneはこれらのターゲットに関係なく、皆が持っている端末に成長しています。そのため、PRに使うプラットホームとして効率がよいのです」(YaCC氏)
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