ウェブがOSになる時代を作る--グリー、プラットフォーム戦略の真意 - (page 2)

鳴海淳義(編集部)2010年01月13日 13時09分

 「将来的にはAmazonのEC2やGoogleのApp Engineなどのクラウド的なサービスに近いものになると思います。Yahoo! オークションや楽天はそういったクラウド的な概念のサービスにECを組み合わせたものと考えられる。一方、我々はソーシャル基盤やマーケティングの仕組みをクラウド的なものに合体させて、アプリケーションプラットフォームを作ります。そういう意味ではAmazonやGoogleに近いと考えています」

 現在はSNSとゲームを中心に事業展開しているグリーだが、このような会社がプラットフォームを構築するのは決して不自然なことではないと田中氏は述べる。

 「任天堂、ソニー、Microsoftなどのゲーム機が家庭用のデジタルハブになるという話はけっこう昔からあります。そういう意味ではゲームを中心にプラットフォームを作っていくのは一般的な考え方だと思っていますし、最近はiPhoneもゲームを押し出したCMを流しています。あれもゲームとコミュニケーションを中心にプラットフォームを作っていくという考え方でしょう。我々はSNSというコミュニケーションとソーシャルゲームという分野のゲームを組み合わせてプラットフォームを作っていく。これも一般的なやり方なのかなと思っています」

日本のウェブを元気にする

 先行するmixiアプリを見て、田中氏は危機感を抱いているという。ミクシィは成功しているが、もっとも人気を集めているのは中国のアプリケーションプロバイダだという点に懸念がある。

 「サンシャイン牧場は、日本に資本がなくても、日本人が作らなくても、日本のユーザーにウケるものを作れることを証明しています。これはすごく脅威です。産業の空洞化がこんなに身近にあるということです。ユーザーとしては正直、どこの国籍だろうと、どこの資本だろうと、安くていいものであればよいと思いますが、このまま放置するとSNSやソーシャルアプリケーションという領域において、中国や米国の会社が成長し、日本の同業界が衰退していくことになってしまう。それは防いでいきたいと思います」

 GREEのプラットフォーム戦略を推進することで、日本のウェブ業界全体に新たな成功モデルを生み出す。こんな壮大な目標も持っている。

グリー代表取締役社長の田中良和氏

 「我々がプラットフォームを拡大し、グリー経済圏みたいなものを広げる。かつてトヨタは経済圏や生態系を作って、エコシステムごと海外に進出しました。我々もそういうプラットフォームになって、日本のマーケットを大きくしながら、海外のマーケットを取り込んでいきたい。そして日本のウェブ業界に新しい成功のモデルを作り出せればいいと思っています」

なぜいまさら……言われ続けたグリー

 今春公開されるGREE Connectはプラットフォーム戦略の第1弾となる。GREE以外のウェブサイトやアプリケーション、ネット接続端末とGREEが連動する仕組みを提供する。これはmixiのmixi ConnectやFacebookのFacebook Connectに相当するもの。たとえばmixi Connectは日本郵政と連携し、ミクシィ年賀状というヒットサービスを創出した。

 GREE Connectも同様にさまざまな連携を計画している。iPhoneやAndroidで動作するアプリケーションやGREEにアクセスできるウェブサービスなどが作れるようになる予定だ。

 とはいえ、プラットフォーム戦略において先行するmixiやモバゲータウンにどう対抗するのだろうか。mixiアプリはすでに一定の成功を収めており、モバゲータウンもテストマーケティングで良好な結果を得ている。

 田中氏は余裕の表情を見せる。「我々はなぜいまさらSNSの会社をやるんだと言われて、SNSの会社を始めた。なぜいまさらモバイルコンテンツなんてやるんだと言われて、モバイルSNSを始めた。なぜいまさらゲームを始めるんだと言われて、ゲームを始めた。ずっとそんなことを言われ続けてきたことはお伝えしたいです(笑)いまグリーはモバイル分野では日本最大規模です。いずれは日本最大規模のウェブアプリケーションプラットフォームになると思っています」

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