Apolloではロケットは1機だったが、この計画ではより重い物を持ち上げるため、「Ares I」と「Ares V」の2機のロケットを使用する。小さい方のAres Iは最大6名の乗組員を運ぶよう設計されている。そのうち4名が月に着陸できる。より強力なAres Vは、月着陸船Altairや、気密車両、月面居住施設など、月面に送るあらゆる物を運ぶためのものだ。
計画によると、2機のロケットの内容物は地球周回軌道上で1つにまとめられ、地球脱出ロケット(Earth departure stage:EDS)と呼ばれる、Ares Vの先端部の貨物船が、乗組員と月着陸船を月まで運ぶという。Apollo同様、乗組員の何人かは軌道船に残り、月着陸船が月に向かって降下する。
月着陸船が戻るときは、下半分が月に残され、上昇段(ascent stage:AS)が月面上空およそ100kmの軌道で軌道船とドッキングする。再会した乗組員は、上昇段を捨て地球に戻る。最後は円すい形のカプセルで大気圏に突入する。
現在NASAが取り組んでいるのは、6月18日に打ち上げられた2機の宇宙船を使用して、有人月ミッションの下準備をすることだ。
そのうちの1機は「Lunar Reconnaissance Orbiter(LRO)」で、50kmという非常に低い高度から月面の地図を作成し始めている。NASAは7月17日、提案されている着陸地の最初の画像を公開した。
このときのロケットは荷物をもう少し運ぶことができたため、もう1つの宇宙船「Lunar Crater Observation and Sensing Satellite(LCROSS)」もこのロケットで打ち上げられた。LCROSSは、10月9日に計画的かつ劇的な最期を遂げる予定だ。まず、LCROSSとLROを月まで運んだロケット「Centaur」が秒速1.55マイル(約2.49km)でクレーターに激突し、そのしばらく後にLCROSS自体も続く。
同ミッションのフライトディレクターの1人であるRusty Hunt氏によると、LCROSSには3台のカメラが搭載され、5200ポンド(約2359kg)で41フィート(約12.5m)のロケットCentaurが月に衝突したときの岩屑を詳細に観測するという。NASAは、土煙が6.2マイル(約10km)の高さになると予想している。LCROSSは地球に観測データをリアルタイムで送ることになっている。
さまざまな地球上の望遠鏡とHubble宇宙望遠鏡も土煙を観測する予定だ。ある程度高性能な望遠鏡なら地球から土煙が見えるので、NASAでは、アマチュア天文家が写真を撮影し、それを送ってもらうことで、土煙の位置と可視性を分析するのに役立てたいと考えている。
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