NASAはまた、米国の産業基盤に与える雇用、波及効果、資金といった経済的影響をことさらに指摘している。Olson氏によれば、NASAは2010年度の予算として6%増の193億ドルを要求しているという。コンステレーション計画の各部分は、11の州で進行中だ。
一方、Apollo計画に携わった元NASAの地質学者であり、現在はノックスビルにあるテネシー大学の教授であるLarry Taylor氏を興奮させているのは、「科学的に学ぶことがたくさんある」点だ。Taylor氏は、月の起源に関する問題に興味を持っている。大規模な衝突や、初めは溶解していた月の内部物質の噴出といった、太陽系の初期の歴史だ。現在の有力な説では、月は、太陽系が今より荒れていた初期に、火星ほどの大きさの天体が地球に衝突した結果として形成されたとされている。
これらの理由は、月に到達するのはお金がかかるという事実と比較考量される。
元NASA天体物理学ディレクターでありHubble宇宙望遠鏡プロジェクトを率いたCharles Pellerin氏は「わたしの考えでは、今後いかなる月ミッションも実現されないだろう。月に再び行くための費用はおそらく、NASAの予算の少なくとも2倍になるだろう」と予測する。
Pellerin氏は、有人探査よりロボット探査が好ましいと考えている。そして、同氏は、もしNASAの予算を自由にできるのなら、地球の気象の裏側にある科学、生命の起源、そして、宇宙の遠い過去を調査することで知りうる新たな物理学のために使うだろうという。Hubble宇宙望遠鏡は、はるか遠く、つまり、はるか昔の可視光を見せてくれるが、同氏は、同じものをX線、ガンマ線、赤外線で見たいと考えている。
「宇宙で起きている現象は、地球上では想像もできない物理的性質を持っている」とPellerin氏は述べる。「クエーサーが1秒で発生するエネルギー量は、太陽の3万年分以上に相当する。どうしてこのようなことが起きるのだろうか?」(Pellerin氏)
しかし、もちろん、多くの人々は天体物理学より有人探査の方に興奮するだろう。NASAが人を宇宙に送りたいのはそのためだ。では、この新しい向上した月計画は、どうすればうまくいくだろうか。
ある程度はこれまでの計画と同じやり方になるだろう。Connolly氏は「太陽系の中を移動するための物理学は変わっていない」と述べている。しかし、目標が壮大になっているため、以前とはかなり異なる点が数多くある。
Connolly氏は「いずれは人々が火星に飛行できるような輸送システムを設計した」と述べている。これは第一に、月に前哨基地を建設するためにせよ、火星へ向かうためにせよ、この輸送システムでより多くの重量を宇宙へ運ぶことができることを意味している。
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