Mac OS X 10.6には、もちろんほかにも新機能がある。先週サンフランシスコで開催されたWorldwide Developer Conference(WWDC)では、PowerPCをサポートしないことよりも、そうした機能の方に注目が集まった。例えばSnow Leopardは、「Microsoft Exchange Server」を標準でサポートする。これによって、企業ネットワーク内にMacを共存させるのがより容易なり、Microsoftの「Entourage」を使わずにすむようになるだろう。ほかの新機能は、あるアプリケーションで開いているウィンドウ間をもっと簡単に移動する方法や、ファイルのブラウジングをより高速で柔軟に行える「Finder」、より高速でバックアップができる「Time Machine」、そして高解像度のビデオチャットだ。
しかし筆者が思うには、こうした追加機能は革命というよりは改良と言ったほうがよい。また、わずか29ドルというMac OS X 10.6の新しいアップグレード価格(最大5台のMacで利用できるファミリーパックは49ドル)は、人々がこのOSへ移行する十分な動機になり、そのことはユーザー自身だけでなくAppleのためにもなる。
マルチコアプロセッサの能力を引き出すのに役立つインフラストラクチャは重要だ。それでも筆者は、デベロッパーが何もせずに恩恵を得られるとは期待していない。並列した部分が別々のスレッドで独立して稼働するソフトウェアを書くのはやはり難しいだろう。しかし、マルチスレッディング作業をある程度処理するOS基盤が提供されれば、Macのエコシステム全般にとって役立つことになる。現在発売中のMacで3つ以上のプロセッサコアを搭載しているモデルは、一番安くても2499ドルの「Mac Pro」しかないという事実は、大部分のユーザーにとってはマルチコアチップには現時点で限界があることを、Appleが認めていることを示している。
しかし、Appleは過去よりも未来に力を注ぎたいと考えている。そして、マルチコアチップこそが未来であることは明らかだ。そうしたチップから性能を引き出すことが、どんなソフトウェアの成功にも不可欠なのである。
下位互換性を保つことは、ユーザーによるアップグレードよりもハードウェアの方が早く変化するコンピュータ市場では困難な行為だ。Microsoftは、より大きな市場シェアを持っており、「Windows NT 4.0」や「Windows XP」などのやや古いソフトウェアのサポートを延長している。しかしAppleは、Snow Leopardでの変更だけでなく、ほかの多くの場合でも決然とした態度をとってきた。
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