フューチャーアーキテクトは今期営業利益23%増予想で期待

 全般不況色が強まる中で、ITコンサルティング大手のフューチャーアーキテクトの業績が好調な推移をみせている。好業績の背景と今後の株価動向を探った。

 同社が2月5日に発表した2008年12月期の連結決算は、売上高が281億円(前期比12.6%増)と2桁増収となったものの、営業利益が25億9800万円(同14.7%減)、経常利益が26億7800万円(同15.3%減)、純利益が7億100万円(同44.7%減)と利益は揃って減益となった。

 売上高が増加したのは、全般不況色が強まる中にあっても依然として好調な受注が継続しているためだ。特に、流通業やサービス業では、同業企業間の競争が一段と激化しており、その大きな切り札でもあるIT戦略を見直し・強化する働きが強くなっている。この結果、リアルタイム処理が可能なシステムを低コストで実現できる同社に対する引き合いが強くなっているためだ。

 流通・サービス業の売上高は、ITコンサルティング事業全体の70%(前年同期57%)に拡大した。しかし、一方で金融業や製造業においては、景気悪化に伴いIT投資に対する姿勢が慎重になっており、金融業向けの売上高の割合は20%(同29%)、製造業向けの売上高の割合は10%(同14%)とそれぞれ減少した。

 ところが、受注が伸長したことにより、社員の供給能力以上の部分について外部パートナーへの依存度が高まることになり、外注費が55億7100万円と急増したことに加え、新卒や中途採用を積極的に行い採用費2億8500万円、新卒者を即戦力として育成するための研修費2億6400万円などを計上したことにより、営業利益は減益となった。

 今期の2009年12月期の連結業績については、売上高261億円(前期比7.4%減)と減少するものの、営業利益32億円(同23.1%増)、経常利益32億5000万円(同21.4%増)、純利益19億3000万円(同2.7倍)と、前期とは逆に売上高は減少するものの、利益は揃って大幅増益を見込んでいる。

 今後全般の景気動向は不透明感が一段と強まるものの、逆に企業のコスト意識の高まりや情報システムの活用による業務効率化へのニーズが強まる可能性もある。売上高は、金融業界のIT投資の減少が見込まれることから小幅な減少が見込まれる。しかし、前期に比べて外部にコンサルティングの案件を発注するケースが減少し、外注費の削減が見込めることなどから、増益軌道への復帰を見込んでいる。

 同社は、経営効率の継続的向上に取り組み、来期の2010年12月期には、連結ベースで売上高300億円、経常利益50億円の達成を目標とする中期経営計画を掲げている。昨年後半から景況が一気に悪化して、環境は予断を許さないが、会社側は、中期計画達成は可能としている。

 同社の株価は、2008年10月31日に5万900円の高値を付けて以降、下落トレンドを辿り、最近は3万円を挟んだ水準での推移となっている。今期の業績が大幅増益と好調予想にもかかわらず、3月6日終値の3万1450円で試算した連結PERは7.7倍と極端な割安水準にある上に、配当利回りも5%台と高いレベルにある。中期的には株価5万円台の回復が十分期待できそうだ。

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