新搭載のライブビューと並んで新たに搭載された機能に「高速連写モード」がある。これは通常撮影では最高約3コマ/秒である連写モードよりも遥かに多い約21コマ/秒という連続撮影が可能となる。AFと露出は最初の一コマ目の状態のままで、レリーズを押している間はミラーアップしたまま撮像素子の電子シャッターにより最大約115コマまで高速連写を行う。この間ファインダーはミラーがあがっているので見ることはできない。
液晶モニターにはクイックビューとして画像が表示される。秒間約21コマというと、約30コマのムービーよりも速いので、撮影後の画像を連続再生するとあたかもスローモーション撮影された動画のようにも見えてしまう。ただし高速連写モードにて記録される画像は約160万画素のJPEG画像となる。
新たに搭載された「キャッチインフォーカス」はあらかじめマニュアルでピント位置を定めておき、そこに被写体が入ってピントが合うとシャッターが切れるというモードだ。こう聞くとカメラを据え置き、そこにフレーム一インしてきた車などの動く被写体が自動的に撮影されるというシチュエーションを思い浮かべるのだが、実際には花のような動かない被写体にカメラを前後させ撮影するという使い方の方が便利に使える。
特にマクロレンズで花を手持ちで接写するような場合にはとても便利と言えるだろう。ただし使用できるのはレンズ側でAF/MFが切り替えできるレンズのみ。
このように外観からはその変化が判りにくいK20Dだが、その中身はさまざまな新しい機構や機能が盛り込まれている。K10Dで好評を受けた撮影スタイルはそのままに、もっとこうなるといいなと思っていた部分が確実に成長してきている。「より高画質により気持ちよいカメラ」としての正当な進化だと言えるだろう。
それはペンタックスというカメラメーカーが真摯にユーザーの声に耳を傾けてきたことの証拠でもある。そのペンタックスもついに08年3月末で会社としては消滅してしまった。今後は合併会社HOYAのカメラ部門として存続を続けることとなる。これでミノルタに次いでの老舗カメラメーカーの変革となる訳だ。だがこのK20Dを見る限りペンタックスのカメラへの想いは決して薄らいではいない。むしろペンタックスブランドへの自信と誇りに満ちあふれているように思える。今回の会社合併という大きな変革を期に、カメラメーカーとしての新たな挑戦と飛躍に期待していきたい。がんばれペンタックス!!
フォトグラファー。雑誌、広告写真を中心に人物、商品、建築、舞台等を撮影。カメラ雑誌やウェブでは写真撮影と記事執筆を担当。人物のレポート記事では写真と文字の両面からのアプローチで内面に迫ると定評を得る。Photoshopによるレタッチの解説記事なども執筆。セミナーなどでは撮影指導も行う。近年は人と自然のつながりをテーマに作品を製作。日本各地で精力的な撮影を行う。CNET/ZDNetでは新製品デジカメ&ムービーのレビューを担当。今夏、長女誕生を機にHDビデオカメラを導入。ついにビデオ撮影&編集にも手を染める。
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