会津大学とNTT西日本、小惑星イトカワのデータ解析、「ひかりグリッド」で

 会津大学(角山茂章学長)とNTT西日本(森下俊三社長)は10月19日、NTT西 日本の「ひかりグリッド」サービスを利用した惑星探査データ解析の共同実験 を、10月20日から08年3月末まで行うと発表した。

 今回の共同実験は、複数の一般家庭のパソコンの余剰能力を集約・連携させ、 スーパーコンピュータ並みの高速で大規模な計算処理を実現する「ひかりグリ ッド」を利用。小惑星探査機「はやぶさ」からの膨大な画像データを高速処理 することで、小惑星「イトカワ」の実態を明らかにするという、惑星探査デー タ解析では前例のない取り組み。

 惑星探査機が取得した画像データに基づく惑星地質学的なデータ処理と解析、 また関連する計算機シミュレーションのうち、とくに計算機能力が要求される タスクを、「ひかりグリッド」が実現する仮想的なスーパーコンピュータ上で 実行することで、短期間で効率的に計算結果を得ることを目指す。これまで、 計算リソース不足が原因で十分に活用できなかった膨大な惑星探査データを解 析することで、解明されていなかった惑星の詳細な実態を明らかにする。

 さらに、小惑星探査機「はやぶさ」が撮影した小惑星「イトカワ」の大量の 高解像度画像の1枚1枚の撮像条件に合わせ、3次元モデルと航法データをもと に小惑星上面物質の光散乱特性を反映させ、厳密な小惑星の見え方を再現。再 現結果をもとに光散乱特性情報を更新し、より正確な小惑星表面物質の推定を 行う。なお、実験の進捗状況や成果は、東京大学総合研究博物館で10月20日か ら12月26日まで開催される特別展示「異星の踏査-『アポロ』から「はやぶさ」 へ-」で随時公開する。

 会津大学では、今回の共同実験の成果をもとに、小惑星表面の光散乱特性を はじめとした表層環境の解析を進める。将来的には、同様の手法で小惑星表層 の土砂流動メカニズムの解明を行い、惑星科学に新たな知見をもたらすほか、 地球上の地滑りや土砂崩れなどの災害対策や、惑星資源活用の研究に役立てる 考え。一方、NTT西日本は、地球観測衛星や天体観測衛星など惑星探査以外の 分野への展開を図る。

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