「世界規模の人と人つないでこそIT」を追求し続けるリアルコム - (page 2)

目指すは一貫して知識の共有

――御社は「Kスクエア」というC2Cサービスに始まり、その4年後には企業向け製品に特化しています。業態が変化したのはなぜですか。

谷本氏:創立当初から、「Kスクエア」立ち上げ後2年を目処に、企業向けにも事業展開していこうと考えていました。「Kスクエア」は結局閉鎖したものの、弊社にとっては非常に大きな成果をもたらしてくれました。

 というのも、立ち上げから1カ月半ほど経ったころから、「このシステムをウチの会社で使いたい」という問い合わせが多く寄せられるようになり、企業向けのビジネスへと発展したからです。

 当時の社員数は30〜40人で、B2BとC2Cを両立するのは人員的にも資金的にも難しく、選択と集中を迫られていました。その上、「Kスクエア」自体が陳腐化し始め、マーケティングやサイトへの投資も必要でした。

 C2Cに使う資金を、企業向けの製品開発に投下した方が効率的だと判断し、企業向けに一本化した感じです。ただ、C2Cに関しても、より新しいサービスを引っ提げて戻ってきたい、という気持ちはあります。

――核となっている「知識の共有」というコンセプトは一貫しているわけですね。

谷本氏:その通りです。弊社はP2Pの会社ですが、この場合のP2Pとは、"Peer to Peer"ではなく、"Person to Person"という意味です。人と人とを繋ぐことこそが我が社のドメインなんです。B2B、B2C、C2C、E2E(Employ to Employ)、いずれの形であっても、人と人とを繋ぎ、情報を共有する、という意味においては全く同じことをやっているつもりです。

――その後のビジネスの進展について教えて下さい。

谷本氏:2003年10月に、東京三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)の基幹システムを作るという、当時の弊社からすれば非常に大きなプロジェクトを手がけたことが、弊社にとって大きな転換点でした。銀行というシステムダウンが許されないミッションクリティカルなシステムの構築という高いハードルを、必死になって乗り越えたことで、営業的・技術的な飛躍がありましたね。

 その後、弊社製品の採用企業がどんどん増えていき、それまで"nice to have"だったものが、"must"の製品として使って頂けるようになりました。IBMとの協業により、同社とパイプができたのも大きかったです。

――現在、御社製品の採用企業は国内170社ほど。この数字は今後も伸びていくのでしょうか。

谷本氏:弊社の戦略の対象となる、エンタープライズコンテンツマネジメント意識の高い、社員数1000名以上の大企業は、国内に1900社ほどあります。つまり、弊社の製品はまだそのうちの9%にしか浸透していないわけです。残り1730社を、主力製品である「KnowledgeMarket」と「HAKONE」で深堀りしていき、最終的には全体の5〜6割に対し、何らかの形で弊社が関わっていきたいと考えています。

 もちろんそれには5〜7年はかかると思います。核となるサービスはある程度完成されているので、徐々に投資モードから回収フェーズに入ってきている状況ではありますが、現状に安穏とするつもりはなく、利益を再投資してグローバライゼーションを試みたり、新たな製品を開発していくことになると思います。

――海外進出に関しての現状と、今後の方針は。

谷本氏:すでにIBMとの協業や、アメリカでの販売・開発を行う100%子会社リアルコムテクノロジーの設立、さらにはGoogleやEMCといったグローバルベンターとの協業など、ある程度のステップは踏んでいますが、すべてはまだこれからです。

 現製品をそのままローカライズするのではなく、これまでの製品の良かった部分を取り込んだグローバル向けの製品を、2008年末から2009年にかけて本格的にリリースする予定です。そのときには、より多拠点化も進み、弊社自体も外国人採用により多国籍化しているでしょう。

 加えて、これは創業時には意識しなかったことですが、リアルコムは、人脈や組織など、グローバル展開に不可欠な要素をしっかり持った会社だと自負しています。もちろん、現時点での最大の強み、国内リーディングカンパニーという実績を活かし、日本での足場をさらに固めておく必要もあります。

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