しかし、このOSTIが本当にドコモでも採用されるのかはわからない。実際、世界的な傾向としては、IMS(IPマルチメディア・サブシステム)といったインターネット技術とケータイ技術を融合する標準仕様を採用する傾向が強い。仕様を見る限り、OSTIとIMSでは重複感や齟齬も大きく、OSTIを導入すれば、再びドコモに代表される日本独自仕様を採用することによる長期的デメリットを国内ユーザーにもたらす可能性もある。
キャリアはいつまで現状の垂直統合型モデル(インフラから端末、サービスモデルまでを一貫してデザインし、それを運営し続けること)を維持し続ける意義を持ち続けるのか。イノベーションのジレンマよろしく、グローバルスタンダードに対して、日本特有のケータイキャリアビジネスモデルの成功経験を主張し続けることが決してユーザーにとって重荷になるようではいけない。ある時点で、OSTIでも前提となっているこの特有モデルの限界を認めなければいけない事態が訪れる可能性も否定できまい。
近くではMNPによるユーザー動向で、そして中長期ではIP化の波による影響という点で、キャリアを囲む環境はこれまでになく厳しいものとなっている。しかしながら、人類の歴史が始まって以来初めてといってもいいくらいに、先端的な技術を僕たちの身近なもの(物理的に!)にしたのはケータイであるといっていいだろう。そのユニークなポジションをどうやって今後も維持し、さらには発展させることができるのか、1つの正念場に差し掛かっているといいのではないだろうか。
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