MercoraのSampath氏は、Mが登場間近のMicrosoftの音楽プレーヤーZuneを超えるものだとして、勝利を確信している。Zuneは、無線が届く範囲内で他のZuneユーザーと一定の曲を共有できるという機能が最大の売りになっていて、Microsoftはこれを熱心に強調している。しかし、Zuneでは共有した曲を再生できるのは3回3日間に限られる。
MercoraはZuneのこの制限に切り込んだ。Mのユーザーは、相手が世界のどこにいても、最大5人まで、個人の音楽ライブラリにログオンできる。もちろん相手の許可は必要だ。またMercoraはすべてがワイヤレスで行えるという点も強く訴えている。どの曲もBluetoothでカーステレオやホームエンターテインメントセンターに飛ばすことができる。
Sampath氏は、Mを開発する着想は、ヨーロッパの第3世代(3G)ブロードバンドネットワークから得たと話す。ヨーロッパの多くの携帯電話機は、音楽ファイルの格納に十分なだけの容量はないものの、通話に加えて電子メール、音楽、写真、動画といったダウンロードデータの情報を、よりより多くより高速に送信できる堅牢なデータ接続を採用している。それにもかかわらず、ヨーロッパではほとんどの人が電子メールの送受信にしか使っておらず、Sampath氏はこれを「ネットワークの空費」だと考えたという。音楽ファイルならうってつけだと、Sampath氏は思った。
Mercoraが音楽を流すことができるのは、「EDGE」「EVDO」「HSDPA」「Wi-Fi」といった3G以上のモバイルネットワークが稼働する携帯電話機だ。Ghose氏によると、携帯電話会社は、写真、動画、音楽といった情報を共有するための「扱いやすいアプリケーション」を求めているという。
市場調査会社NPD GroupのNeil Strother氏は、コンセプトは面白いが、携帯電話サービスを提供する無線通信事業者が、Mのようなサービスをビジネスとしてどの程度実際的だと考えるかは不透明だと話す。
「携帯電話会社がこれを気に入るかはわからない。『帯域幅の邪魔物になる』と考える可能性もある」(Strother氏)
MercoraのGhose氏は、その点は心配していないと語った。Mの音楽ファイルの転送速度は56kbpsであり、200〜300kbpsの動画ほどにはネットワーク上で場所をとらない。さらに、Ghose氏によると、スマートフォンのユーザーの多くが、雇用主から無制限のデータプラン契約を与えられているという。
これに対しStrother氏は、帯域幅を1日24時間大量のファイルで渋滞させることを、通信事業者が両手を挙げて歓迎しているわけではないと反論する。
米国の消費者と「iPod」の熱狂的な結びつきをほどくのは難しいかも知れない。同じ機器で音楽を聴きかつ電話をかけるのは気が進まないという感覚があるかも知れないからだ。しかしSampath氏に言わせると、米国人はヨーロッパに同調し、追いつこうとしているようだという。
「次世代音楽プレーヤーは電話機になるだろう。専用機にはならないと思う」とSampath氏は語った。実際に、販売傾向は同氏を支持しているようで、音楽再生機能付きの携帯電話機を購入する人が増えている。NPD Groupによると、2005年の第2四半期から2006年の同期までを見ると、音楽再生機能付きの携帯電話機の販売が、携帯電話機の販売全体に占める割合は、7%から19%に増えている。ただし、NPD Groupでモバイル機器を担当するリサーチディレクターであるStrother氏は、音楽を再生できる電話機を持っているからといって、その機能が有効利用されているとは必ずしも言えないと話している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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