ケータイメールで緊急レポート提出作戦 - (page 2)

 ケータイのメールで送信できる文字数について考えたことがあるだろうか。NTTドコモのmova向けiモードメールは1通あたり全角250文字だが、FOMAでは全角5000文字に拡大されている。他のキャリアのメールも1000文字を軽く超える文字数をサポートするようになった。この1000文字という文字数は、大学の授業で出されるレポート課題の文字数制限によく使われる文字数と同じである。

 授業のアシスタントをしていると、1学期間に1回はこんなメールが来る。「パソコンが壊れてしまい、メール提出のレポートが提出できなくなってしまいました。ケータイの送信、お許し下さい」理由はとにかくとして、メールで提出するレポート課題をケータイから入力して1000文字のレポートを提出してくる学生がいるのだ。

 図を入れることが指定されていたとしても、ケータイのカメラから写真を撮ってそれを添付すれば、図表番号こそ振ることはできないが、写真や図表入りのレポートとしてメールの上では表示されることになる。そう考えると意外とケータイメールでのレポート作成だってばかにはできない。とはいえ、自分にはできないとも思った。100文字、パソコンのテキストエディタの上では2行ほどの文章ですら苦労して書いた僕からすると、よく1000文字をきちんと1つの文章で書き上げたな、と感心してしまう。

 しかし、文章を組み立てるときの考え方を変えてみるとどうだろう。例えば、あらかじめ言いたいことを10個挙げれば、100文字の固まりを10個連ねればレポートが完成するわけだ。

 文章の書き方、組み立て方そのものから変えてしまえば、一度に表示できる文字数が少ないケータイの画面からでもレポートをまとめ上げることは可能である。しかし、文章のペースは、これまで紙の上やパソコンの画面上で書かれてきたレポートと比べれば、全く新しいものになるかもしれない。レポートとして受け入れられるかどうかには影響しないだろう。いずれの流儀であっても内容次第だから。

 ケータイのメールでもう1つ、紙やパソコンと違う点として予測変換の充実が挙げられる。ケータイからの文字入力は、慣れ不慣れ、面倒に思うか思わないかの差はあるが、やはり面倒な作業だ。そこで、言葉の頭文字を入力すると、そこまで入力してきた文字から次に入力されるであろう文字を推測して候補を挙げてくれる。カーソルで選べばその文字が入力される仕組みになっており、テンキーを何度も押さなくても文章を作成できる。

 友達との連絡や恋人へのメッセージなどを想定した候補(「デート」「ラブラブ」などが出やすい)のチョイスが目につくが、一方で意外とレポートも打てそうだと思える候補も出てくる。僕はSH901iCを今使っているが、「ぶ」と1文字目を入力したときに、候補の中に「ぶらぶら」「ブルー」「無事に」「部長」などに紛れて「blog」という候補が含まれていたのは驚きだった。

 また、端末メーカーからは様々な候補の辞書セットがダウンロードできるようになっており、「ギャル文字」「絵文字変換」「顔文字」などのケータイメールコミュニケーション向けの辞書に加えて、IT用語、ビジネス用語、医学用語などの専門的な辞書まで用意されている。そういった専門用語が入力支援で出てくれば、文字入力のスピードも大幅に向上しそうだ。

 ちなみにSFCの学生向けに提供されている、オンラインでレポートを提出できる「レポートシステム」では、ウェブサイトからの提出とともに電子メールでの提出も認められている。提出にはキャンパスのネットワークでもらっているメールアドレスが必要になるため、ケータイメールでレポートシステム向けに提出することはできないが、もし自分のケータイメールアドレスを登録できるなら、事前に断ることもなくケータイからメールでレポート提出をすることだってできるようになるだろう。

 単なるPCメールの代替物ではなく、授業直後のフィードバックとしてケータイからのメールを採用している授業の話も耳にするようになった。文章作成について、さらに長い文章には対応できないかもしれない、というネガティブな要素はあるものの、ポジティブに生かしていく方法を考えていくべきではないだろうか。

 僕がアメリカにいるせいで、結果的には国際電話でインタビューを受けることになったケータイ小説の話も関係がある。現実として、ケータイで長い文章を、隙間の時間をうまくトレースしながら読むということが始まっているのだ。だったら、隙間の時間をうまく使って学習する授業へのアウトプットを書くことだって、試みていくべきだ。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]