Microsoftは、かねてから、Macの購入者は(Mac以外のPCの購入者に比べ)割高なコスト(いわゆるApple税)を支払わされていると主張してきた。そして今回、再びこのApple税を喧伝している。今回の手法は、Windowsの最大のライバルであるMacを選んだ場合にかかる(とMicrosoftが主張している)追加コストを偽の納税申告書にリストアップするというものだ。しかし今回、Microsoftは「税務監査」を受ける恐れがあると筆者は考える。
Microsoftは米国時間4月9日、同社のWindows Blog上に、あるPCとMacを購入した場合のコストを比較した文書を掲載した。その中で同社は、Windows PCを2台購入した場合はMacを2台購入した場合に比べ、3000ドル以上割安だと主張している。その「納税申告書」は、Microsoftがスポンサーとなって技術アナリストのRoger Kay氏が作成した白書(PDFファイル)に基づいている。
Macは(他のPCに比べ)割高だというMicrosoftの基本的主張には反論しないが、その白書とブログに書かれている仮定や条件には疑問を感じる。
Kay氏が比較しているのは、PCとMacをそれぞれ2台ずつ購入し、その後5年間に、一連のアップグレードを行い、さらにいくつかのソフトウェアやサービスを購入した場合のコストだ。
同白書では、Windows PCからの買い替えで、すでにQuickenとMicrosoft Officeの2つのライセンスを保有している人を前提としている。そのためKay氏はMac側に70ドルと149ドルをそれぞれ加算する一方、PC側には一切加算していない。仮にそれが真実だとしても、それは、そのユーザーがソフトウェアのアップグレードを希望しないことが前提だ。
しかし、Kay氏はAppleのiLifeに関しては異なる評価をしている。iLifeの価格は、新たに購入したMacの価格に含まれている。同氏は5年分のコスト分析の中で、3年目にiLifeのアップグレード費用として99ドルを追加しているが、iLifeのアップグレードは任意であり、必ずしも必要ではない。
サービスの面では、Kay氏はPC側に3年保証を付け、Mac側にはAppleCareを付けている。AppleCareはDellの保証よりもやや高いが、この点に関して文句はない。
だがKay氏は、Mac側に店内で行う1対1のコンサルティングサービスを追加しているが、PC側にはこれに対応するサービスはない。この点については、PCの購入者は、Windows PCから不要なプレインストールソフトを削除してくれるGeek Squad(Best Buyが運営するPCサポートサービス)のコストを負担しなければならないと主張する人もいるだろう。
また、同分析では、Mac側に高価だが完全にオプションであるAppleのMobileMeサービスが追加されている。Windows側には無料のWindows Liveサービスがあるが、コストに敏感なMacユーザーは、GoogleやYahoo、さらにMicrosoftが提供するさまざまな無料サービスを利用する手もある。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」