AppleがMacの利用者にウイルス対策ソフトウェアのインストールを勧めている。おそらく、これは同社始まって以来のことである。
だが、これはMacのオペレーティングシステム(OS)が急に安全でなくなったということではなく、Macの利用者がウェブアプリケーションの悪用に対して脆弱であることを認識したということである。コンピュータの利用者にとって、OSとウェブアプリケーションの脅威度が逆転し、今は、OSよりもウェブアプリケーションの脆弱性の方が脅威になっている。
Appleは米国時間11月21日、同社のサポートサイトに「Mac OS: Antivirus utilities」を掲載し、こうした変化を静かに伝えている。同サイトには「Appleでは、ウイルスプログラマーが複数のウイルス対策プログラムの回避を考えなければならない状況にして、ウイルスの作成が困難になるように、より多くのウイルス対策ユーティリティを幅広くご利用いただくことを推奨する」と記されている。
同サイトは対策として、「Intego VirusBarrierX5」「Symantec Norton Anti-Virus 11 for Macintosh」「McAfee VirusScan for Mac」を提示している。Intego VirusBarrierX5とSymantec Norton Anti-Virus 11 for Macintoshは、Apple Online Storeで入手できる。
Brian Krebs氏が今回のAppleによるウイルス対策の勧告を初めて伝えた。同氏は米国時間12月1日、The Washington PostのブログSecurity Fixで、同氏が3カ月前、「MacBook」を購入した際に、Apple Storeの従業員が、同氏にウイルス対策ソフトウェアは不要だと説明したことが記されている。
Appleはこれまで、ウイルスの心配がない時代を謳歌していた。一方、Windowsはウイルスの攻撃にさらされ続けてきた。ウイルス作成者は、最大の効果を得るべく支配的なOSプラットフォームに狙いを定めていた。
そのため、業界全体が、Microsoftから発表されるソフトウェアパッチを常に注目している。同社はソフトウェア開発の仕方を見直し、Windowsの利用者がウイルス対策ソフトウェアなどのセキュリティソフトウェアをインストールし最新に保つよう常に強く働きかけている。
これに対して、Appleは、テレビ広告に示されるように、Macの利用者はウイルスの影響を受けないとしてきた。
こんなAppleがなぜ方針を変えたのかは定かではない。筆者は1日、Appleの関係者に電子メールを送りコメントを求めたが早急な返事はなかった。
McAfeeでセキュリティリサーチおよび広報担当ディレクターであるDave Marcus氏は、Appleはこうした市場の現実に対応したと述べる。ここでは、悪意のあるハッカーがPCからデータを盗むために作成したウェブベースのマルウェアやトロイの木馬の影響を受けるという認識が広まり始めている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス