楽天が自社でサービスを開発していることを知っていましたか?
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2007年09月25日 〜 2007年11月19日
――それらのチャレンジを支援したり、シナジー効果を高めるための工夫はありますか。
ボトムアップで社員のアイデアをサービスに取り入れるための仕組みとして、「楽天ジャングル」という仕組みを構築中です。
現在は事業の方向性やプロデューサーなどからのアイデアでサービスを作成していますが、サービスの作り手であるアプリケーションエンジニアの側から技術的な視点で、「こんなことができるから、それを利用してこんなサービスができますよ」といった、ボトムアップでサービスを構築する仕組みがありません。今、社内で整備しようとしているのはそれなのです。
たとえば、サーバを1台、root権限から1人のエンジニアに与えて、自分の作ったサービスを社内に公開できるようにする。それが面白いサービスであれば、実際のサービスへの採用も検討するというシステムを考えています。これに先ほどのコミュニティの仕組みを組み合わせていけば、よりアプリケーションエンジニアの発想からアプリケーションを作成する仕組みができていくのではないかと思っています。
インターネットのサービス自体に、ビジネスサイドからの要求で発生したもの以外に、技術的な革新などからビジネスを作るという流れもあると思います。楽天では、それを社内から発信できる仕組みを作ろうとしているのです。
――そういった中で、アプリケーションエンジニアに求められる資質というのはどのようなものなのでしょうか?
そうですね、われわれはサービス運営会社ですし、エンジニアが作るものはそのサービスに関わるものなので、規模が大きくなれば、個人の作業は全体の一部になっていきます。ただし、自分のしていることがそのサービスのどの部分に該当し、どのような役割を果たしているのか、そしてそのサービスがどのようなビジネスモデルの上で動いているのか、エンジニアひとりひとりが全体を見渡せる視点を持つことが必要だと思います。
また、サービスの提案を技術者サイドから行える仕組みの構築を行っていると言いましたが、それとは別に全社的に年1回、「ビジネスアイデアコンテスト」というものを行っています。これは開発部門だけでなく全社員が参加できるもので、新規事業のアイデアを提案するものです。ビジネスモデル、たとえば収支の部分まで含めて提案を行い、上位の企画は事業化するというものです。
――現在、さまざまな試みを行っていることがよく分かりました。今後のビジョンや展望としてはどのようにお考えですか?
楽天グループのサービスが、Webの世界だけに留まらず、広くオフラインでも提供されるようになるのは確実だと思っています。提供する媒体やインフラといったものが変わっていく可能性はあると思いますが、そこを支えるシステムとして我々が構築してきた根幹の部分は基本的には変わらないと思っています。たとえば楽天グループ全体で利用できるIDシステムやポイントの部分といった社会インフラになりうる部分ですね。提供媒体が変わるなど、オフラインへの展開も含め、ネットを越えてサービスを提供するようになっても、基本システムは変わらないと考えています。
技術トレンドも移り変わって行くと思いますが、今まで通りそれをどんどん取り込んでいくべきだと感じています。今まで楽天は技術的な情報を外部に公開していなかったため、最新Web技術の研究などを行っていないと思われがちなのですが、サービスが大規模で信頼性を問われるものであることから、常に新しい技術の研究・応用をしてきました。また、テクノロジーブランドとしての楽天もアピールしていこうということで、APIの例のように、積極的に開示するようになりました。
プロデュース本部は今ある技術でどのようなサービスが提供できるのかを考える部門ですが、それとは別に楽天技術研究所という部門で5年先、10年先を考えた技術を研究しており、うまく棲み分けています。
楽天グループはネットビジネスの縮図みたいなものだと思います。楽天市場のように大規模で基幹システムに近いものもありますし、規模は小さくても最先端のインターネット技術を利用したサービスまでさまざまです。私たちのミッションは、楽天会員を中心とするサービスの展開です。ある新しいサービスによって、会員が増加する、既存のサービスの付加価値が上がるなど、そのサービス単体での収益だけでなく、他のサービスとの連携で収益を上げることも可能なのです。
アプリケーションエンジニアにとって、3500万ユーザーが利用するサービスに関われる機会は他にないでしょう。楽天はチャレンジ精神に富んだ、エッジの利いたエンジニアにとって大いに活躍できるフィールドであると確信しています。
――本日はどうもありがとうございました。
次回は 執行役員 システム構築・運用本部 本部長 兼 編成本部 本部長 兼 開発人材部門 部門長の樋口将嘉氏に、楽天の高品質なサービスを支えるインフラ・エンジニアの優位性や特色などについて伺う。「とまらないサービス」を実現する、信頼性・安全性の高いインフラ構築にはどのような工夫が隠されているのだろうか。
「楽天グループのサービスが、Webの世界を越えて供給されるでしょう」
大日本印刷株式会社を経て2000年に楽天株式会社入社。インフラ部門の技術者として楽天のサービスを支え、ユーザーの利便性向上や出店店舗のビジネス発展に貢献。2006年11月より現職。アプリケーション開発の責任者として、中・長期的な視野でサービスの企画・開発の陣頭指揮を執る。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
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和田圭氏
Mr. Kei Wada