デジタル一眼レフカメラで実現する写真クオリティの動画

撮影した写真や映像を使ってオリジナル映像作品を作る!

 前編ではデジタル一眼レフカメラだからこそ撮影できるおもしろ映像について書いてきた。このような動画映像を作り出すためにはどうすればよいのか? せっかく撮った映像も撮りっぱなしではもったいない。そこで、トムソン・カノープスの動画編集ソフト「EDIUS Neo 2 Booster(以降、EDIUSとする)」を使ってデジタル一眼レフカメラならではの動画編集テクニックを紹介していく。なお、これらの使い方は上位ソフトのEDIUS Pro 5でも使えるので、ぜひ参考にして欲しい。ちなみに、EDIUS.jpではPENTAX K-7の動画の取り込み方などが紹介されているので、そこも参照することをお勧めする。

プロジェクトの設定は出力の形態で決まる

プロジェクトを設定しよう。
まずはプロジェクトを設定しよう。出力デバイスや用途については一覧表に詳細
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 EDIUSをはじめて起動する人にとって最初の難関は「プロジェクト設定」にあるといえるだろう。プロジェクトというのは、ワープロの「ページ設定」のようなもので、ここでどのようなビデオを作るのかを設定する。今回はK-7の動画録画解像度(720p−16:9モード)で撮影した素材でYouTube、Blu-rayに出力するための映像を作るので、動画には出力フォーマットとして1280×720 29.97p、タイムラップスには1280×720 24pを使用した。

まず動画を取り込んでみよう

 EDIUSが立ちあがったら、今度はファイルを読み込んでみよう。EDIUSで使う映像や写真素材などはBinフォルダにドラッグ&ドロップするだけで登録ができる。同じようにBGMなどの音楽も同じBinに登録することができるので、動画に必要なパーツをまず集めてみよう。登録したビデオや音楽はタイムラインにドラッグ&ドロップするだけで編集することが可能になる。

「ファイルの変換」を行おう。
ビデオ再生がスムースでない場合は「ファイルの変換」を行おう。
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 EDIUSでの再生はビデオデッキと同じで再生画面の下にある矢印で早巻き戻し、コマ逆送り、再生/ポーズ、コマ送り早送りとして使えるほか、スペースバーで再生/停止、矢印でコマ送りなどもできるようになっている。

 ここで注意してほしいのがマシンの性能だ。

 最近のビデオ編集ソフトの性能が上がってきているとはいえ、ハイビジョン(720p以上)の解像度のビデオの再生にはそれなりのマシンパワーが必要となる。そのため、K-7で撮影したビデオがスムースに再生されないことがある。

 そんなときに役に立つのが「ファイルの変換」だ。再生が引っかかるビデオなら、ファイルを右クリックし、「変換」→「ファイルの変換」を選択することで、ビデオは編集に適したより軽いフォーマットに変換される。

 後は、ビデオを必要なところでカットしたり、他のビデオとつなげたりすることで簡単に作成することができる。

タイムラップス撮影を一発動画変換してくれるシーケンス化機能

 「撮影編」で紹介したタイムラップス撮影だが、連続した写真が数枚から数千枚になることがある。これらの写真をそのままEDIUSのタイムラインに乗せると、写真が1秒間隔で一枚ずつ配置されてしまい、連続した動画として扱うことができない。

 しかし、実際シーケンス化をしてみると気の遠くなる現実に直面する。それは、1フレーム1枚で動画を作成すると、99枚の写真は毎秒30コマでも3.3秒にしかならないことだ。つまり、1分間隔で99分かけて撮影したタイムラップスもそのままでは3.3秒にしかならないことになる。

 これを回避するには、複数の方法があるのだが、まず今回筆者が使った方法を紹介しよう。

 まずプロジェクトを24フレームに設定すること:24フレームに設定することで、4.1秒ほど映像が伸びる。 次にタイムラインのビデオ(上記で作成したシーケンス)を右クリックし「速度」を選択。

表示されたウィンドウの”Rate”の右にある100%を30%に変え、速度を通常の30%に落とす。
タイムラップス撮影なら、このように空の雲が流れるような映像を撮ることができる。

 こうすることにより、映像を13分18秒に引き延ばすことができるだけでなく、EDIUSによりコマ間が補正されるので、タイムラップスの動画がかなりスムースな映像になる。


K-7の写真の美しさをフルに生かすレイアウト機能で差を付けよう!

 タイムラップス撮影を無事タイムラインに乗せたところで、動画が編集できることは前述のとおりだが、実はここにEDIUSの最大のメリットがあるとも言えるだろう。

 多くのビデオ編集ソフトでも写真や規定より大きいビデオを扱えるのだが、タイムラインに乗せた瞬間、プロジェクトの解像度に変換されてしまう。このため、せっかく高解像度の写真やビデオを使っていてもリサイズされ、それを拡大すると粗くなってしまう。

 EDIUSでは元動画や写真はリサイズされないため、今回のような720pのプロジェクトで高解像度の写真(4672×3104ピクセル)を使うと、最大3.65倍(1280×720比)に拡大しても粗くならない。もちろん、先ほど作ったシーケンスにも同じことが言えるので、クオリティを下げずにシーケンス内の一部を拡大することができる。

 14秒あたりからのズームはEDIUSのレイアウト機能で行っている。ここまで拡大しても、画質に何の遜色もないのがわかると思う。

 さらに、レイアウト機能にはキーフレームの設定も行えるため、映像の中の移動情報を登録することでソフトがその間の動きを補完し、スムースに動画の拡大や写真内を移動してくれる。

図2 レイアウト機能を利用すれば、キーフレームの設定も行える。
図2 レイアウト機能を利用すれば、キーフレームの設定も行える。(クリックで拡大画像表示

 先のページで紹介した浅草の街中を撮影したビデオにレイアウト機能で動画内の移動情報を設定して作った動画。初めは100%に拡大→右にパン→中央にパン→横幅いっぱいにズームアウト(41%)している。


レイアウト編集が終わったタイムラップスの動画はレンダリングをすることがおすすめ。
レイアウト編集が終わったタイムラップスの動画はレンダリングをすることがおすすめ。
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 最後に、レイアウト編集などが終わったタイムラップスの動画はかなり重くなるので、編集しやすいようレンダリングすることをお勧めする。プレビューウィンドウ上の[レンダリング]をクリックし「シーケンスをレンダリング」→「付加部分」と選択すると、EDIUSはより編集しやすいフォーマットに変換してくれる。


 後はビデオにトランジション(場面が変化する際の効果)やフィルタをかけた後、再度この作業を行うことで、スムースに再生できるようになる。EDIUSの機能を使うことにより、デジタル一眼レフカメラならではの動画をプロっぽく編集することが可能になるので、ぜひ試していただきたい。

 EDIUSのより詳しい使い方を知りたい人は、トムソン・カノープス社のEDIUS Neo 2 Booster商品ページに掲載されている「使い方ビデオ」を参考にしよう。

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製品スペック紹介
PENTAX K-7
型式
P-TTLストロボ内蔵 TTL AE・AF一眼レフデジタルカメラ
有効画素数
約1460万画素
外形・寸法
約130.5mm(幅)×96.5mm(高)
×72.5mm(厚)(突起部を除く)
質量(重さ)
約670g(本体のみ) 、約750g(電池、SDカード付き)
 
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