シンクタンクの調査結果で分かった ビジネスで使える「クラウド」の条件
ついに本格的な普及期を迎えたクラウドコンピューティング(以下、クラウド)。一方で、ユーザー企業からは「何を基準に選ぶべきか判断が難しい」といった声も聞かれるようになった。そこで、MM総研では「真のエンタープライズ用途」に適したクラウドサービスを見極めるため、第1回「ビジネスクラウド総合評価調査」を実施した。ここでは、同調査において最高クラスの「AAA(トリプルエー)」の格付けの中で第1位に選ばれたNTTコミュニケーションズの「Bizホスティング」を例に、企業に必要なクラウドの要件について考えてみたい。
クラウドの市場拡大に伴って
求められる新しい「選択基準」とは
「コンシューマー分野で普及し始めたクラウドは、いまでは多くの企業で使われるようになりました」と語るのは、MM総研 所長の中島 洋氏。MM総研の調査によると、国内のクラウドサービスの市場規模は2011年度に推計で365億円。2015年度には1300億円近くに拡大すると予測されている(図1)。
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このような市場の広がりとともに、クラウドに求められる要件も変わりつつあるという。
「最近は基幹系システムをクラウドに載せて使う企業が増えつつあります。その場合、信頼性についての要件は当然厳しくなります。サイバー攻撃のリスクも高まりつつあるなかで、セキュアかつ安定的なサービスは大前提。同時に、レベルの高いBCP(事業継続計画)を実行できることも重要です」
つまり、企業が求めているのは低コストでありながら高信頼、しかもビジネスの要求に即応し柔軟に拡大・縮小できるクラウドだということだ。加えて、グローバルという視点も欠かせないと中島氏は指摘する。
「海外ビジネスを展開している企業は、国内外で同じクラウドサービスを使いたいと考えるでしょう。こうしたニーズに対して、グローバルなサービス提供の能力が問われています」
ただし、近年はクラウドサービスが急激に増えたこともあり、ユーザー企業からは「何を基準にクラウドを選ぶべきか判断が難しい」といった声も聞かれるようになった。そこで、MM総研は「真のエンタープライズ用途」に適したクラウドサービスを見極めるため、このほど第1回「ビジネスクラウド総合評価調査」を行った。その意図について、中島氏は次のように語る。
「本格的な普及期を迎え、今必要となっているのは、単なる“知名度”ではなく、基幹業務にも対応できるビジネス基盤としてのクラウドサービスであり、その基準や指針です。そこで当社では、国内の主要なクラウドサービスを対象に調査を実施。『基本機能』『サービス実装』『ネットワーク』『信頼性』『運用サポート』『料金体系』という6分野、合計43項目にわたってポイント化を行い、格付けを行いました」(コラム参照)。
column「ビジネスクラウド総合評価調査」とは
第1回「ビジネスクラウド総合評価調査」は、企業の情報システム基盤や災害時に継続運用できる社会基盤として適したサービスかどうか、クラウドサービスの実力を客観的に評価することを目的にしたもの。本格的な普及期を迎えるクラウドサービスの適切な理解のために、MM総研が実施し、2013年2月19日に発表した。
本調査では、クラウドサービスを提供する主要な30社のサービスを対象として、「基本機能」「サービス実装」「ネットワーク」「信頼性」「運用サポート」「料金体系」の6分野、合計43項目にわたる詳細項目について、重要度を加味した上でポイント化している。これらの項目の重要度の算出にあたり、各企業でクラウドサービスの選定に関わる343名を対象にしたアンケートを実施。さらに有識者による審査委員会の検討を経て、総合的なランキングを評価したという。その6分野における評価の方針は図3の通りだ。
最高水準となる総合評価「AAA(80点以上)」の格付けの中で、NTTコミュニケーションズの「Bizホスティング」が第1位に選ばれた。
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※出典 「ビジネスクラウド総合評価調査」(MM総研2013 年2 月19 日発表)
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[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部 掲載内容有効期限:2013年3月31日