小売のデジタル化を加速するSmart StoreにAIカメラが仲間入り無償で使えるリファレンスアーキテクチャの狙いとは?

カメラリファレンスアーキテクチャで何ができるのか。その狙いとは

 今回、Smart Store リファレンスアーキテクチャに新たに加わったカメラソリューションは、AWL株式会社で開発された、小売業向けのAIカメラ技術をベースにしたものだ。AWLの技術を活用することで、顧客の行動や従業員の行動を分析し、店舗のオペレーションを効率化することができる。ユニークなのは、分析のソースとして防犯カメラの映像を用いることもできる点だ。AWLの土田安紘氏は、次のように語る。

AWL 土田安紘氏
AWL 土田安紘氏

 「AIカメラ導入の敷居を下げるために目をつけたのが、店舗ならどこにでもある防犯カメラです。防犯カメラの映像には、利用者や従業員の動きが記録されています、これが分析可能になれば、ECサイトの改善と同じ感覚で、リアル店舗のオペレーションも改善することができます。犯罪が起きたとき以外には捨てられていた映像の中に、たくさんの宝物が詰まっているわけです。」

 しかし、コストを下げるだけでは、店舗へのAIカメラ導入は進まない。実際に技術に触れることで、店舗で何を実現できるのか体感してもらうことが重要だと、土田氏は言う。今回Smart Store リファレンスアーキテクチャの一部として、AIカメラ技術を無償提供する狙いもそこにある。GitHubから無料でダウンロードしたコードと、安価なハードウェアで、簡易版とは言えAIカメラの分析機能を十分に体験することができる。日本マイクロソフトとの協業を通して、小売自身がデジタルで実現したいことに気づいてもらい、AIカメラの市場を広げたいと、土田氏は考えている。

Smart Store セミナー潜入レポート

 ここからは、12月12日にAzure Daikanyama Baseで行われたセミナー「今日から使える!顧客、従業員の行動を可視化するSmart Store カメラリファレンスアーキテクチャ」の模様をお届けしよう。

 まず最初に日本マイクロソフトの内藤 稔氏より、流通・小売業界の展望と、Smart Store施策についての説明が行われた。9割の顧客が購買の意思決定にネットを活用する一方で、依然として9割の購買行動は店舗内で行われる。未来の小売は、サプライチェーン、店舗とオンラインがシームレスに繋がり、洗練した顧客体験を実現するだろう。それを後押しする施策がSmart Storeだ。「マイクロソフトはITサプライヤーとしての立場に徹し、事業会社との共創を実現する」と内藤氏は強調した。

 次に、AWLの土田氏より、AIカメラソリューション「AWL Suite」と、Smart Store カメラリファレンスアーキテクチャについての紹介が行われた。AWL Suiteは、映像認識用のエッジデバイスAWL BOXと、認識結果を分析するAWL クラウドからなる。行動分析の結果は、マーケティングや防犯など様々な用途に活用できる。AWL Suiteの仕組みを、Raspberry Piなど市販のハードウェアとAzure IoT Hubを用いて実装し、オープンソースとして公開したのが、Smart Store カメラリファレンスアーキテクチャだ。もちろん本格的なビジネス導入にあたっては、耐久性や処理性能、さらには業務に合わせた分析アプリケーションが不可欠だ。まずは無償で試してもらい、本格運用の際は、AWLのソリューションを活用してほしいという狙いがある。

 続けて、日本マイクロソフトの平岡一成氏より、カメラリファレンスアーキテクチャで利用されているAzureの技術について解説が行われた。IoT Hubは、画像認識を行うエッジデバイスからのデータの収集を行う。収集されたデータは、Stream Analyticsで分析され、Cosmos DBに蓄積される。エッジ側の画像認識モジュールや、サーバー側の集計ダッシュボードなどは、すべてコンテナとしてContainer Registryで管理され、必要な時にIoT HubやContainer Instancesによってデプロイされる。

 最後に、日本マイクロソフトの岡田氏と、Microsoft MVPの大平かづみ氏より、Smart Storeリファレンスアーキテクチャの今後のロードマップについて説明が行われた。デジタル化を進めるに当たっては、セキュリティへの懸念も大きな障害となる。そこで、バージョン2の実装では、サーバレスアーキテクチャのメリットを生かしつつも、ゼロトラストの概念に基づき、セキュリティの強化を目指す。

Smart Storeトレーニングの紹介

 最後に、Smart Storeの技術者育成プログラムについてご紹介しよう。非エンジニアも対象に含む初級編から、Smart Storeの基礎となるAzureの技術について学ぶ中級編まで、幅広く用意されている。目玉となるのは、Smart Storeリファレンスアーキテクチャに沿って、二日間で無人店舗を開発するトレーニングだ。手を動かしてアウトプットすることで、デジタルでどのような小売を実現できるのかを、より具体的にイメージできるようになる。

Smart Store パートナー・技術者育成


※クリックすると拡大画像が見られます

 トレーニングについての詳細は、日本マイクロソフトのconnpassページにも掲載されている。ぜひチェックしてほしい。

提供:日本マイクロソフト株式会社
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2020年6月30日

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