顧客からの“信頼”をFintechに生かす--金融機関をAPIでむすぶ「MT LINK」を選ぶ理由

銀行やSIerのFintechサービスを支えるMT LINK

 さて、ここからはMT LINKを導入し、自社のビジネスプロセスを改革したいくつかの事例を紹介しよう。横浜銀行では気軽に残高を照会したいというライトなユーザー層を対象に「横浜銀行残高照会アプリ」を2015年10月からリリースしている。インターネットバンキングは、利用者の半数は振り込みをせず照会だけに利用しているといわれており、同行では、不正利用の温床となりかねない振込機能の標準化や、複数のパスワードの管理は、銀行にも利用者にもベストな選択ではないとの判断から、照会専用アプリの導入を決めた。

 アプリケーション公開後は、その利便性の高さから評判もよく、利用者数も増加傾向にあったという。だが、顧客からは複数口座に対応してほしいという声や、機種変更に伴うトラブルへの対応など、多くの要望が積み重なっていった。さらに他行を始めとする金融機関がPFM事業者と連携する流れが生まれ、さらなる機能拡充を行うための壁が立ち塞がったという。

 これらの背景から横浜銀行では「複数口座への対応」「自行のサービスとして提供」「導入・開発に要する期間」という3つの課題を行内で提言した。まず1つめの各金融機関情報への対応だが、横浜銀行は神奈川県で2割程度のシェアを持ち、顧客は都心で働く方が多いためメガバンクなどを併用した複数口座を管理するニーズが高いという。そのため、利用者の目線に立ってアプリの使い方(ユーザー体験)を考えたとき、複数口座への対応は喫緊の課題だった。この点は自行を含めたすべての金融機関情報をMT LINK経由で取得することで解決に至っている。

 2つめの自行サービスだが、フィンテック企業のサービスをそのままの形で提供すると、その企業のサービスとして顧客に認知されてしまう。最終的には自行の顧客を他行やフィンテック企業へ流出させてしまいかねないため、この点に抵抗を感じていたという。他方で顧客に対する安心感も重要だと横浜銀行ダイレクト営業部 調査役の五十嵐俊行氏は説明する。この点もMT LINKの APIを利用して自行アプリ内でサービス提供を可能にした。


横浜銀行 ダイレクト営業部 調査役 五十嵐俊行氏

 3つめの開発は地域金融機関におけるシステム投資へのリソース不足が大きな壁となる。そのため多くの地方銀行は2つめの課題と同じく「フィンテックサービス for ●●銀行」という形でアウトソーシングしたアプリケーションを提供する形となるが、前述のとおり横浜銀行は自行アプリケーションにこだわっている。そこで、Moneytreeと連携し、「一生通帳」を横浜銀行残高照会アプリから利用可能にした。担当者は「おかげで本体アプリケーションのネイティブ部分に(開発リソースを)注力し、マネーツリーが提供する機能を毎月のように追加可能になった」(五十嵐氏)と高く評価している。

 こぼれ話として、横浜銀行が同行の利用者に「お客さまの声を聞こう運動」の一環でヒアリングしたところ「通帳は必要ですか?」との質問に「必要である」との回答が非常に多かったそうだ。「ヒアリング先や質問の仕方が問題だったかも」と五十嵐氏は振り返りつつも、通帳の維持コストなどを鑑みて、「アプリケーション上で通帳っぽいデザインを提供し、年配層(の利用者)に安心感を提供したい」と述べていた。さらに横浜銀行がパートナー企業を選定する上で、いくつかのフィンテック企業に声を掛けたという。前述のとおり同行は3つの課題を明確にし、それらを満たす企業も他になかった訳ではない。だが、マネーツリーは当初から解決条件を満たしており、「会話を重ねるたびに『銀行とよいものを作る』という意思を強く感じた」(五十嵐氏)からだと選定理由を述べていた。

 今後、横浜銀行残高照会アプリはグラフ機能やカテゴリー集計機能を実装し、さらにカテゴリー分類の変更や投資信託情報の表示なども予定する。将来的には不動産や会計事務所など非金融系企業のAPIを利用した新サービスの展開も模索している。

「横浜銀行残高照会アプリ」が今後実装する機能
「横浜銀行残高照会アプリ」が今後実装する機能

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 その他にも、Slerとして様々なAPIサービスやSDKを組み合わせてマーケットに最適なパッケージを組成・提供するSCSKが登壇。利用ユーザーの資産管理という観点から、銀行機能や地方銀行など多角的な情報提供と、パーソナライズ化による価値を提案する「MINEFOCUS」が紹介された。同社マネージャーの加藤大希氏によれば、地域金融機関4行で稼働中。さらに2行で導入検討中だという(2017年9月時点)。現在はMT LINKのAPIを使って金融資産などを表示し、利用ユーザーの収支状況を月次や年次集計情報として可視化し、利用者に気付きを与える。さらにサポート機能を通じて利用データの把握から、動産購入資金の積み立てを可視化するなどの機能実装を目指す。


SCSK マネージャー 加藤大希氏

 日本ユニシスの「Fortune Pocket」は、個人資産管理と資産形成支援を目的にしたアプリケーション。そのコア技術として「MT LINK」を採用し、資産情報の可視化を安易にしている。将来の資産など社会的不安を背景に、貯蓄から資産形成に対する取り組みを活性化するため、バランスシートや固定資産、住宅ローン情報などを提供。さらにファイナンシャルプランナーと提携して、資産情報を診断評価する機能も予定している。「Fortune Pocketを軸にライフプランの実現を支援するトータルサービスの提供を目指す」と、日本ユニシス主任 塩手一平氏は語る。


日本ユニシス 主任 塩手一平氏

 このようにMT LINKを核としたB2Bビジネスは広がりを見せており、MT LINKのデータ価値は加速的に高まっている。「データは扱いを変えればライフプランにも活用できる。MT LINKを使った導入事例を増やしたい」(マクダッド氏)と意気込みを語った。

提供:マネーツリー株式会社
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2017年12月31日

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