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外部からの投資を受けない米ライフレイ、ビジョンと方向性を語る

 企業向けポータルのプラットフォームをオープンソースで提供する米Liferay。ポータル製品におけるGartnerのマジッククアドラントでは、IBMやOracleなどの大手企業と並んでリーダーポジションに位置づけられている。完全に独立した企業という立場を崩さない同社は、外部からの投資をすべて断っており、株式公開の予定もない。それでも過去数年の成長率は20~30%にのぼり、2004年の創業以来常に利益が出ているという。

 Liferayは今後どのような方向に向かうのか。また、同社の強みはどこにあるのか。Liferay 最高経営責任者および共同創立者のブライアン・チョン(Bryan Cheung)氏と、日本ライフレイ 代表取締役社長のブライアン遠藤(Brian Endo)氏に聞いた。

モバイル戦略を強化

 Liferayの従業員は全世界で約550人。日本法人である日本ライフレイを設立したのは2012年7月のことだ。日本法人設立当時から現在までの2年間を振り返り、チョン氏は「この2年でモバイル市場が急速に拡大した」と語る。


ブライアン・チョン氏
Liferay 最高経営責任者

 「モバイル経由によるウェブへのアクセスは、今年中に全体の30%になると言われている。つまり、ユーザーがウェブに接する方法が大きく変化しているのだ。こうした変化に企業側も対応していく必要がある。家やオフィスでPCを使ってウェブにアクセスするのと同様に、移動中モバイル端末でウェブにアクセスすることを想定したサイト作りが必要になってくるのだ」(チョン氏)

 そのため現在同社では、「レスポンシブデザインに力を入れている」とチョン氏。Liferay上で作成したコンテンツは、さまざまなデバイス上で自動的にその端末に最適化されたイメージやレイアウトで表示されるようになっているという。

 また、「ユーザーとのエンゲージメントにも注力している」とチョン氏は語る。いま多くの企業では、PC向けサイト、モバイル向けサイト、カスタマーポータル、パートナーポータルといったさまざまなポータルサイトに加え、Eコマース機能、顧客獲得機能、顧客維持機能など多数のシステムを抱えている。これらはすべて企業にとって重要な役目を果たしてはいるが、「すべてを包括的に捉えている企業は少ない」というのだ。

 例えば、航空券の予約をオンラインで変更しようとし、四苦八苦してもうまく行かずコールセンターに電話した場合、ユーザーがオンライン上で何をしようとしていたのかコールセンターで把握しているケースは少なく、最初から説明しなおす必要がある。「それぞれの段階での行動を個別のものとして扱うのではなく、包括的に捉えることができれば、ユーザーとの関係はより良いものになるだろう。このように、企業と人とのやり取りや、さまざまなシステムをインテグレーションさせるといった分野には大きなチャンスがあると考えている」とチョン氏は説明する。

 さらには、モバイルデバイスの普及によって、ロケーションベースのエンゲージメントも重要になってきているという。「例えば、ある人が歩きながらオンラインストアのサイトを見ていたとしよう。もしそのオンラインストアの実店舗が近くにあった場合、店舗からユーザーにアプローチできる仕組みがあれば機会につながる可能性が広がる。もちろん、ユーザーに干渉しすぎないよう気をつける必要はあるが、この世界にはさまざまなチャンスが広がっている」とチョン氏は述べている。

 このほか同社が注力している分野として、チョン氏はデジタルマーケティング分野を挙げる。ユーザーのセグメントやキャンペーンの種類によってコンテンツをターゲティングするといったことは、Liferayの自社サイト上でも重要だと考えられており、「すでに社内向けに開発している機能を、ユーザーに向けても開発中だ」(チョン氏)という。

Liferayの強みは「インテグレーション」と「企業ビジョン」

 市場のニーズに合わせて戦略を立て、確実に成長を続けるLiferayだが、同様のポータル製品を提供する競合が存在するのも事実だ。同社の強みはどこにあるのだろうか。

 「Liferayの製品は、インテグレーションに適したプラットフォームである点が強みだ」とチョン氏は語る。「製品をインストールしただけでできることは限られている。しかし、だからこそさまざまなシステムとインテグレーションできるようになっている」という。また、IBMやOracle、Microsoftなど、すべての製品を取りそろえなくてはならないベンダーロックイン型の製品とは異なり、Liferayは既存のデータベースやサーバとの互換性が高く、「他のシステムには手を加えなくて済むようにしている点も大きい」としている。

 また、Liferayではポータルやウェブサイトを単に情報伝達のための手段としてではなく、人と人とがやりとりをして関係を深めるための場所だと考えているという。「だからこそ、単に顧客を獲得すれば終わりというサイト作りではなく、顧客を獲得した後、いかにしてその顧客と良好な関係を築き上げるかまでを考えている」とチョン氏。Liferayでは、こうした考えを常にユーザーに向けても発信しており、ユーザーもこのビジョンに賛同しているのだという。

 さらにチョン氏は、同社に外部投資家が存在せず、企業が長続きするような運営ができていることもLiferayの強みだと語る。「外部投資家がいないということは、四半期報告書を提出したり、いつまでにエグジットしなくてはいけないといったようなプレッシャーがないということ。これがわれわれの考え方や企業運営にも影響を与えている。われわれは、顧客にとって何がベストか、従業員にとって何がベストかだけを考えればいいのだ。もし顧客が契約時期を延期したいと言っても特に問題はない。まずは無料版を導入して予算が確保できるまで購入したくないというのであればそれでもいい。短期的な売上は落ちるかもしれないが、長期的にはそれがうまくいくと考えている」(チョン氏)

 実はチョン氏を含めLiferayの創業者らは、同社創業前にはボランティアや非営利事業を手がけたいと考えていた。とはいえ、やはり非営利でも運営費がいる。また、さまざまな国で単にボランティアをしているだけだと、滞在理由が明確でないとして不審がられることもあったという。そこで、事業を立ち上げることでボランティアなどの運営費をまかない、さまざまな国で事業を展開して税金を支払い、地元での仕事を生み出すことで、支援にもつながると考えた。これがLiferay誕生の背景である。Liferayでは、同社の事業で得た利益の10%をボランティアや非営利事業に費やすため、Liferayの非営利部門としてLiferay Foundationを立ち上げている。

 このようにボランティア精神であふれた創業者らによって設立されたLiferayには、同じビジョンを持つ従業員が集まってくる。そのためか、同社のサポートチームはユーザーからの満足度が非常に高いのだという。「Liferayの社員は、本当にユーザーを支援したいと考えている人たちばかり。時に創業者である私以上の情熱を社員から感じることもある。サポートチームがユーザーを支援するのは当然のことだが、ユーザーは皆『ここまでしっかりサポートしてもらえるとは思わなかった』と喜んでくれる」とチョン氏は語る。

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提供:日本ライフレイ株式会社
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2014年11月7日