製品情報

SIGMA

SD10

【主なスペック】
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ユーザーレビュー

2004年02月03日 00時00分
○特徴
 最大の特徴は独自のイメージセンサーです。Foveon(フォビオン)X3は、ほかのCCDやCMOSとのようにモザイク状にRGBのカラーフィルタが配置されるベイヤ配列とは異なり、ひとつの画素でRGB3色を同時に再現できる。
 ベイヤ配列タイプでは、ひとつの画素で一色しか情報を取れなす、R25%・G50%・B25%という比率になっているため4画素ではじめてフルカラーの情報を取れることになる。通常は、隣接する画素の情報から計算処理によって一画素毎にフルカラー情報を作り出している。このとき、無彩色の(白黒パターンなど)ものを撮影しても、あるはずのない色が作り出されてしまう偽色と呼ばれるものが発生する。

 Foveonでは、一画素でRGBフルカラーを撮ることができるため、偽色は全く発生しない。また、ベイヤ配列では、色情報を得るためにローパスフィルタというもので、イメージセンサーの直前でわずかにぼかすということが行われているため解像感を損なう結果になっている。

 画素数としてみると約343万画素ではあるが、通常のベイヤ配列の1000万画素を超える解像感を持っている。方式が全く異なるため単純に画素数で比較することができないが、ベイヤ配列と同じ考え方で画素数を考えると2,268×1,512×3層となり、1,029万画素ということができる。

○操作性
 SD10は非常にシンプルな操作性を持っている、これは撮影に必要な機能のみをカメラ側で行い、画像処理などの部分はすべてパソコン側に持って行ったことによるものである。 これによって、JPEG出力機能を持ったカメラのようにカラースペースの設定等の撮影以外のことに煩わされずに、露出やシャッターチャンスなどの撮影そのものに集中することができる。こうした構成は、銀塩カメラからデジタルへ移行してきた人でもとまどうことなく使うことができるだろう。
 撮影に必用な、画質設定(画像サイズ)・ISOなどは専用のボタンを設置しボタンを押しながらダイヤルをまわすだけでできるようになっている。ホワイトバランスの設定以外は液晶画面のメニューを利用することなくできるようになっているので、慣れれば素早い操作が可能な作りということができる。


○画質
 RAWデータ専用ということで、パソコン側での現像処理を行う必用がある。この現像処理を行うソフト「SIGMA Photo Pro 2.0(以下SPP2)」はシンプルで使いやすいソフトとなっている。現像処理でCPUパワーを使うため、ある程度高速のCPUが必用になるが、メモリの搭載量などはほとんど影響しないため、現像に掛かる時間を気にしなければ旧モデルのPCでも利用は可能である。
 露出やコントラストなどの基本的な機能はスライダーを操作するだけで調整可能であるし、カラー調整もマウス操作で簡単に行うことができる。ニュートラルグレーになって欲しい部分をクリックすることでカラー調整をおこなうグレーポイントも可能。
 SPP2の新機能として、Fill Light機能がある。これはダイナミックレンジを操作して覆い焼き・焼き込みの手法をシミュレートするもので、ハイライト部分の明るさを変えずに暗い部分を明るくするということが可能である。

 イメージセンサーの性能が良いため、解像感はすばらしく良いが、反面ブレやピンぼけなどはシビアにでる。レンズによるフレアによる「purple fringing」と呼ばれる現象などもはっきりと捕らえてしまいます。フィルムでは感光面に厚みがあるため目立たなくなりますし、ベイヤ配列ではローパスフィルタや計算処理でそれほどはっきり出ません。
 同様に、レンズの色収差もはっきりと出てしまいます。
 これは、裏を返すと、レンズを通してきた映像を正確に捉えているということになります。

 SD10はSIGMA SAマウントとなっているため、SIGMAのレンズしか使えませんが、SIGMAのレンズはコストパフォーマンスに優れており画質的に何ら劣る部分はありません。これは、海外での評価が高いことでも証明されていると思います。


○欠点
・オートフォーカスが中央部の一点のみである。
 (測距点が増えることで逆に使いにくくなる場合もあるので、欠点とは言えないかもしれませんが)
・ニッケル水素電池を使用した場合、電池容量が残っているにもかかわらず電圧低下のサインが出る。
 これは、一度バッテリーケースを取り出して電池を回転させることで、復活します。バッテリケースと電池の端子との接点の関係で皮膜が形成されてしまうことが原因のようで、接点復活材などを使用することで解決は可能。
・AFがF2.8より明るい場合などで迷ったり、はずれることが多くなる。
・アクセサリーが少ない。
・オートホワイトバランスの精度があまりよくない。


○総合評価
 ある意味癖のあるカメラではあるが、最終的にできあがる画像はすばらしいものがある。他の600万や1,000万画素のカメラと比較しても遜色ない画像が手に入る。
 誰でもそこそこに撮れてしまうカメラでは味わうことのできない、楽しみがある。

 完成度という面では、まだ課題も多いが、最終的に手元に残る作品には高い満足が得られると思う。

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