2002年05月17日 00時00分
■ 1Uラックマウント型ルーターの実力は?
今回機会があって DATACONTROL 社の1Uラックマウントルーター、Gaterance
をお借りすることが出来たので、さらっと使わせて頂きました。このルータはラッ
クマウント型であることからもわかるとおり家庭向けではなく(とはいえ、自宅に
ラックを組んでいるツワモノもいるかもしれませんが)、価格も278,000円と高い
もので、どちらかというと企業向けのものと思われます。
ただ、スループットで最高約90Mbps出ると謳われており、確かに結構実力は
ありそうです(プロバイダーの状況にもよりますが、FTTHの帯域を十分に使うこと
が出来ます)。今回は実験環境が整わなくてこの売りを検証出来ませんでしたが、
Webでの設定やフィルタ機能等、実際に使ってみた感想をレポートしたいと思いま
す。
■ 用途の幅は広い
まずハードウェア自体ですが、本体裏面から見ていくと全く普通の PC と同じ格
好をしています(MIDIポート、サウンド関連ポート、USBなんかがついているのも
結構面白いところでしょうか)。ディスプレイポート、キーボードポートもあり、
キーボードを接続すれば本体単体で設定を行うことも可能です。
前面は非常にシンプルで、前面パネルを閉めているとPowerLED等の LED 類のみ
で、パネル内にはバックアップ用のフロッピーディスクドライブやリセットスイッ
チ等が隠されています。フロッピーディスクドライブを活用して、ブートディスク(
RAMディスク)のバックアップを取ることが出来ます。また工場出荷時の状態に付属
のフロッピーを使って戻すことも可能です。
難を言えば、ラックマウント型にも関わらず前面にシリアルコンソールがないと
ころでしょうか(個人的にはこれがあると結構便利なんですが...)。
機能的にはルータにあると助かるものが一通り実装されています。dhcpサーバや
IP Aliases、IP Filter、Masquerade、portforwardingと機能は十分揃っていま
す(ベースシステムは debian slink をベースとしたLRP (Linux Router
Project)を元に開発したものだそうです。LRPに関しては、英文の本家サイトに
アクセスできずミラーですが、サイトはこちら
http://c0wz.steinkuehler.net/ )。また PPPoE もサポートしており、BFlet's
等でも利用が出来るようになっています。
OpenSSL や OpenSSH もインストールされているため、外部からSSHでルータに
対してアクセスが可能だったり、SSLを利用してトンネルを作り、セキュアな通信を
実現することも出来ます。この点も基本的には評価出来ますが、Web で一通りの
設定が出来ながらも最初にこれら機能を利用する際にはコンソールでログインを
する必要があり、ここが少し面倒というところでしょうか(初期設定では root で
telnetが出来ないので、どうしてもコンソールから設定する必要があります。まあ
普通のルータでも当たり前といえば当たり前のポイントですが)。
■ 設定は基本的に Web から
設定や管理は Web から行えるようになっています。近年は家庭用のものでも
Web から操作するものが一般的なので、特に目新しい点とも言えませんが(この
クラスのルータからすると似つかわしくない気もしますが)、やはり便利といえ
ます。特にシステム監視についてはログの容量監視や保存レベル等を細かく設定
出来ますし、ping によるホストの生存監視が出来るのも嬉しい点です。
■ 難点はハードの増設面
機能的には充実していて、あまり不満がある訳でもないのですが、最後に課題を
挙げるとすれば、それなりのサイズで、おそらく企業向けに考えられているルータ
であるにも関わらず、イーサのポートが2つ(Gaterance 110の場合)で、それ以上
の増設が出来ない点でしょう。ただ、マニュアルを見ると発売予定の120では
3ポート搭載で、DMZ等の構築も意識したつくりになっているようです。
いずれにせよ、それなりにまとまっていてきっちり使える本ルータでした。