日本ではITの垣根を越えて、ニュースメディアやTVで紹介されているSecond Life。中国ではSecond Lifeを「第二人生」と呼ぶが、中国におけるSecond Life事情は現状どうだろうか。
Second Lifeというと、経済活動が行えて、かつ米ドルへの換金ができるとあり、オンラインゲームでのゴールドファーマー(依頼主に依頼され、依頼主にかわってゲーム内のバーチャルマネーや経験値稼ぎをする代理プレーヤー)が全土に存在している中国ならば、日本以上にSecond Lifeを使って経済活動に活発に参加しているのでは、と思うかもしれない。
中国でも「Second Lifeというゲームがあるよ」「Second Lifeでは全世界で人気なんだそうだよ」「Second Lifeで大もうけした人がいるよ」といったレポートはIT系メディアで散見する。が、そこで終わりで、それ以上にSecond Lifeの世界に踏み込んだ記事は少ない。
具体的な中国のSecond Lifeについてのリサーチはないが、利用者が少ないことは様々なサービスから類推できる。たとえばAlexaでSecond Lifeのウェブページのアクセスを国別で分析しても、上位にランキングしている日本とは対照的に、中国は下位ぎりぎりに辛うじてランクインしている程度だ。中国にはアメリカに次いで第2のインターネット人口があることを考えるとかなり利用者は少ないのだろう。
また百度版Wikipediaこと「百度百科」においてもSecond Lifeの紹介は漠然とした説明にとどまり、不特定多数の人と質疑応答をする「百度知道」においてもまた、Second Life関連の質問はダウンロードやログイン方法など初歩的なものしか確認できない。Second Lifeの中国人利用者同士によるフォーラムサイトは立ち上がっているものの、初歩的な質問に加え、オブジェクトの作り方の質問程度にとどまっており、「ここでこんなことやってるから来てください」といった類のメッセージは見つからない。
そのような状況なので中国企業もSecond Lifeの世界にバーチャル店舗を構える動きはない。ただし8月末にSecond Lifeを紹介する中文サイトが土地を貸し、バーチャル店舗開設を手伝うサービスを開始したので、今後は少しずつ進出する可能性もあり得る。
と、中国でのSecond Lifeの利用実態を紹介したが、だからといってSecond Lifeは中国では関係ない代物か、というとそうではない。Second Lifeの世界的人気を見てか、中国でSecond Lifeもどきのタイトルが2つリリースされた。
1つは2007年3月にベータ版がリリースされた「HiPiHi」。画面はSecond Lifeと同じく3Dで、何をするのも自由で自分の土地でオブジェクトを作ることができるコンセプトはSecond Lifeとよく似ているが、リアルマネーと交換できるバーチャルマネーは存在しない。現在は同オフィシャルサイトで、HiPiHiの雰囲気がわかる電子ブック「Hi時光」がダウンロードできる。ゲームの雰囲気が見たければそれをダウンロードしてみるといいだろう。
もうひとつのタイトルは漢字表記ではSecond Lifeと全く同じ「第二人生(英名はMY LIFE)」。画面はポップなデザインで斜め見下ろしのクォータービュー。仮想世界は中国の現代の都市をモチーフとし、その仮想世界の中で好きなことをすることができる。土地を購入し好きな建物を建てるコンセプトはSecond Lifeに似たものがあるが、NPCとの戦闘シーンやミッションがあったりとゲーム的な要素が含まれているのも特徴となっている。
中国版Second LifeというべきHiPiHiと第二人生には、いくつかの中国企業がバーチャル店舗を構えている。世界的に利用されているSecond Lifeには広告は出さないが、国内で利用されるだろう“もどき”のタイトルには投資する価値があると判断しているわけだ。
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