アテネ五輪閉幕で気になる電通の今後の株価

 電通が8月23日に好調な2005年3月期の第1四半期(4〜6月)の決算を発表した。アテネ五輪を前にデジタル家電関連の広告出稿が好調に推移したのに加え、早めの猛暑の到来で飲料などの広告も高い伸びを示した。しかし、こうした好業績にもかかわらず電通の株価は30万円の大台を割り込んだままで低迷状態が続いている。果たして、アテネ五輪終了後の業績、株価の推移はどうなるのか。

 電通が23日に発表した2005年3月期の第1四半期の連結業績は、売上高4529億3900万円(前年同期比12.1%増)、営業利益101億8300万円(同90.3%増)となった。国内景気の全般的な回復や、アテネ五輪開催の波及効果に加え、大手広告主の開拓を積極的に進めたことも寄与した。ただ、9月中間期や2005年3月期通期の業績については期初予想から変更していない。

 今回の第1四半期の決算について、クレディ・スイス・ファースト・ボストン証券は24日付けのリポートで「第1四半期の業績は、事前予想を小幅に上回った。会社側の通期営業利益予想は控えめで、これは大幅に上回りそうだ。弊社では520億円(会社側予想は475.5億円)を予想する。ただ、アテネ五輪後の9月以降の売上高は、五輪の影響度および前年比較からみて、秋以降の売上は大幅に落ち込むと考える。今期1株利益予想は会社側見通しを11%上回る9462円だが、PERは28倍台となり、収益モメンタムが近い将来ピークに達する景気敏感株としては、バリュエーションは極めて高い水準」だとし、投資判断「アンダーパフォーム(弱気)」を継続している。

 ただ、一方では「確かに、秋以降のデジタル家電関連商品の売上はこれまでの好調の反動もあり、いくぶんブレーキがかることが予想される。しかし、薄型テレビについては品揃えもかなり豊富になると同時に、価格的にもようやく値ごろ感が出はじめており、本格普及期目前の状態といえる。国内の年末・年始商戦に向けて広告出稿は増加を続けるのではないか。さらに、今回のアテネ五輪が空前のメダルラッシュとなったことから、知名度が急速に向上した多くのスポーツ選手を広告塔に使用しようというニーズも高まるのではないか」(準大手証券投資情報部)との見方も出ている。

 さらに、9月上旬発表予定の日経225種平均株価採用銘柄定期入れ替えに伴って、電通もソフトバンクやヤフーなどとともに新規に採用される可能性が高い銘柄として市場関係者のあいだで取りざたされており、これも株価を上昇させる支援材料といえそうだ。

 日経225種平均株価の採用銘柄になると、インデックス型の運用を行っている国内外の機関投資家などがかなりまとまった株数を組み入れるため、テクニカルな買い需要が発生するとの思惑が働いて株価が上昇するケースが多い。

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